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ワインは、ボトルに詰められた瞬間から眠るわけではありません。グラスに注がれるその瞬間まで、ワインは静かに、しかし確実に変化を続けています。とりわけ、熟成を前提に設計された高品質なワインでは、年月をかけた変化こそが最大の魅力です。今回は、その「ボトルの中の変化」を科学的視点で探っていきます。
ワイン造りにおいて「シュール・リー(Sur Lie)」という技法は、多くのワイン愛好家にとって馴染み深いものですが、実際の製法やその影響については誤解も多いようです。
ワインと魚介類の組み合わせにおいて、多くの愛好家が悩まされるのが「生臭み」。この現象は単なる感覚ではなく、科学的に解明されつつあります。今回は、メルシャンの研究をもとに、なぜこの生臭みが発生するのか、どんなワインと魚介が相性が良く、どの組み合わせで避けるべきなのかを深掘りします。
世界で最も愛される赤ワイン品種「ピノ・ノワール」。ドメーヌ・ルロワのミュジニーが一本700万円を超える時代に、7000円以下で見つかる高評価のピノ・ノワールがあることをご存じですか?ワイン・サーチャーが発表した2025年版の「最もお買い得なピノ・ノワール」をご紹介します。
今年のDWWA(Decanter World Wine Awards)でプラチナを超え、わずか0.3%の頂点に立ったのが「Best in Show」。世界57か国、18,000本以上の中から選ばれた50本は、真にグローバルな至高のセレクションです。
今年のDWWA(Decanter World Wine Awards)では、驚異の97点を獲得したワイン137本が「プラチナ」に選ばれました。出品数のわずか0.8%──選ばれし一本はまさに“選ばれし舌”を満足させる価値を持ちます。
近年のワイン界では、「自然との共生」を掲げ、極力手を加えないワイン造りが注目されています。除草剤や殺菌剤の使用を抑え、ブドウ本来の生命力と土地の個性を引き出す――そんな哲学を支える新たな選択肢が、今静かに勢力を伸ばしています。その名は「PiWi(ピーヴィー)」。
ワイン界にとって、2024年はまたも逆風の年となりました。国際ブドウ・ワイン機構(OIV)が発表したところによると、世界のワイン消費量は前年比3.3%減の2億1,400万ヘクトリットルに落ち込み、1961年以来の最低水準を記録。これは3年連続の減少であり、近年のトレンドを象徴しています。
かつてバターやポップコーンの香りが魅力とされたシャルドネは、今や“鋼のようなミネラル感”と“ピュアな酸”が主役に。世界中でワインスタイルが軽快で緊張感ある方向へとシフトする中、最も劇的に変貌を遂げたのがこの“白の女王”シャルドネです。
サロンは、メニル・シュール・オジェ村のシャルドネだけで造られる、孤高のシャンパーニュ。その醸造は、傘下のローラン・ペリエの熟練シェフ・ド・カーヴ、オリヴィエ・ヴィニュロンが指揮する。今回、ローラン・ペリエとともにその現地を訪れ、4度目となる「サロン2013」の試飲と、ラグジュアリー・シャンパーニュの裏側にある精緻な造りに触れた。
シャンパーニュと品質向上中の世界のスパークリングワインをブラインド・テイスティングで審査する「泡の戦い」(Battle of the Bubbles)がロンドン・ワイン・フェアで行われ、イングリッシュ・スパークリングワイン「ナイティンバー 1086 2010」がトップに立った。
ルイ・ロデレールは「世界で最も称賛されるシャンパーニュ・ブランド」のトップに6年連続で選ばれた。2位から4位はクリュッグ、ボランジェ、ビルカール・サルモンで変わらなかった。
2025年4月、ロンドンで開催された世界最大級のワイン・コンペティション「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」において、日本を代表するワインメーカー、メルシャンとサントリーが相次いで金賞に輝き、日本ワインの確かな存在感を国際舞台で改めて印象づけました。
2025年4月、ロンドンで開かれた世界最大級のワイン・コンペティション「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」には、世界30か国以上から200人を超える審査員が集い、日本からも多数の審査員やワインが参加しました。筆者自身も今年、正式なジャッジとしてこの場に立ち、日本ワインが国際的にどう評価されているのかを肌で実感しました。
ブルゴーニュの名手エティエンヌ・ド・モンティーユが、サンタ・バーバラと北海道という異例の地に新たな挑戦を始めたのは2017年。日本のワイン造りに心を動かされた彼は、函館に15haの畑とワイナリーを構え、2023年には初収穫を迎えました。「ここは、ほかにはないエレガントで旨味を湛えたワインが生まれる場所」と語る彼の挑戦が、北海道の可能性を照らし出しています。
〜高価格帯が苦戦、クレマンに希望〜 2024年のフランスワインとスピリッツの輸出額は、前年比4%減の約155億6,000万ユーロとなり、2年連続のマイナス成長となりました。ただし、輸出「量」はほぼ横ばい(−0.1%)で、1億7,400万ケースと安定。つまり、“売れはしたけど単価が下がった”という構図です。
(出典:RaboResearch “The real reasons Generation Z is drinking less alcohol”, Apr 2025) Z世代(1997年以降生まれ)は、過去のどの世代よりも「飲まない」傾向がはっきりしています。その理由は「健康志向」だけではありません。RaboResearchの最新レポートでは、Z世代のアルコール離れは、社会構造・テクノロジー・経済背景・人口構成といった多角的な要因によるものと分析されています。
世界中でワインのグラスを傾ける回数が、静かに減少しているようです。OIV(国際ブドウ・ワイン機構)が発表した2024年の統計によると、世界のワイン消費量は2億1400万ヘクトリットルと、実に1961年以来の最低水準に落ち込みました。前年比では3.3%の減少で、3年連続の減少となります。 背景には、長引くインフレによる購買力の低下、若年層の飲酒離れ、そしてライフスタイルや価値観の変化が挙げられています。OIVのジョン・バーカー事務局長も「世代交代と消費者行動の変化」を今後の鍵として注視しています。
2024年のサン・ジュリアンは、厳しい気候条件にもかかわらず、クラシックなエレガンスと現代的な洗練が見事に融合したワインが生まれました。平均収量は32.5hl/haと、前年から約55%減少しましたが、これにより果実の凝縮感が高まり、品質の向上につながりました。このヴィンテージは、熟成によるさらなる進化が期待される、真のクラレット愛好家向けの逸品です。
2024年のボルドーにおけるポイヤックは、収量が平均29.5hl/haと主要4アペラシオン中で最も低く、その厳しさが際立った年でした。冷涼な春と多雨の夏により病害圧が高まり、特にミルデュー(ベト病(downy mildew)との戦いは過酷を極めました。それでも、丁寧な畑管理と果敢な判断により、素晴らしい完成度を誇るワインがいくつも生まれています。 ラフィットは果敢な対応の末、わずか11hl/haという収量でありながら、気品あるアロマと伸びやかなテクスチャーを実現。一方、ムートンは雨中での収穫となったものの、厳選されたぶどうと新技術の導入により、重厚で構造的な味わいを保ちました。 また、ポンテ・カネやピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランドは「リスクを取る」選択をし、粘り強い収穫作業と穏やかな醸造で、味わいの奥行きを持ったワインに仕上げました。ブドウの成熟を待ち、酸と果実味、タンニンの三位一体が見事に調和したワインには、クラシックな美しさが漂います。 この年は、果実の凝縮感というよりも、構造美とフレッシュな酸、そしてエレガンスが光るスタイルが主流となりました。タンニンは時にタイトで厳しめに感じられますが、それがむしろワインの骨格を際立たせ、長熟のポテンシャルを示しています。
ワインは、ボトルに詰められた瞬間から眠るわけではありません。グラスに注がれるその瞬間まで、ワインは静かに、しかし確実に変化を続けています。とりわけ、熟成を前提に設計された高品質なワインでは、年月をかけた変化こそが最大の魅力です。今回は、その「ボトルの中の変化」を科学的視点で探っていきます。
ワイン造りにおいて「シュール・リー(Sur Lie)」という技法は、多くのワイン愛好家にとって馴染み深いものですが、実際の製法やその影響については誤解も多いようです。
ワインと魚介類の組み合わせにおいて、多くの愛好家が悩まされるのが「生臭み」。この現象は単なる感覚ではなく、科学的に解明されつつあります。今回は、メルシャンの研究をもとに、なぜこの生臭みが発生するのか、どんなワインと魚介が相性が良く、どの組み合わせで避けるべきなのかを深掘りします。
世界で最も愛される赤ワイン品種「ピノ・ノワール」。ドメーヌ・ルロワのミュジニーが一本700万円を超える時代に、7000円以下で見つかる高評価のピノ・ノワールがあることをご存じですか?ワイン・サーチャーが発表した2025年版の「最もお買い得なピノ・ノワール」をご紹介します。
今年のDWWA(Decanter World Wine Awards)でプラチナを超え、わずか0.3%の頂点に立ったのが「Best in Show」。世界57か国、18,000本以上の中から選ばれた50本は、真にグローバルな至高のセレクションです。
今年のDWWA(Decanter World Wine Awards)では、驚異の97点を獲得したワイン137本が「プラチナ」に選ばれました。出品数のわずか0.8%──選ばれし一本はまさに“選ばれし舌”を満足させる価値を持ちます。
近年のワイン界では、「自然との共生」を掲げ、極力手を加えないワイン造りが注目されています。除草剤や殺菌剤の使用を抑え、ブドウ本来の生命力と土地の個性を引き出す――そんな哲学を支える新たな選択肢が、今静かに勢力を伸ばしています。その名は「PiWi(ピーヴィー)」。
ワイン界にとって、2024年はまたも逆風の年となりました。国際ブドウ・ワイン機構(OIV)が発表したところによると、世界のワイン消費量は前年比3.3%減の2億1,400万ヘクトリットルに落ち込み、1961年以来の最低水準を記録。これは3年連続の減少であり、近年のトレンドを象徴しています。
かつてバターやポップコーンの香りが魅力とされたシャルドネは、今や“鋼のようなミネラル感”と“ピュアな酸”が主役に。世界中でワインスタイルが軽快で緊張感ある方向へとシフトする中、最も劇的に変貌を遂げたのがこの“白の女王”シャルドネです。
サロンは、メニル・シュール・オジェ村のシャルドネだけで造られる、孤高のシャンパーニュ。その醸造は、傘下のローラン・ペリエの熟練シェフ・ド・カーヴ、オリヴィエ・ヴィニュロンが指揮する。今回、ローラン・ペリエとともにその現地を訪れ、4度目となる「サロン2013」の試飲と、ラグジュアリー・シャンパーニュの裏側にある精緻な造りに触れた。
シャンパーニュと品質向上中の世界のスパークリングワインをブラインド・テイスティングで審査する「泡の戦い」(Battle of the Bubbles)がロンドン・ワイン・フェアで行われ、イングリッシュ・スパークリングワイン「ナイティンバー 1086 2010」がトップに立った。
ルイ・ロデレールは「世界で最も称賛されるシャンパーニュ・ブランド」のトップに6年連続で選ばれた。2位から4位はクリュッグ、ボランジェ、ビルカール・サルモンで変わらなかった。
2025年4月、ロンドンで開催された世界最大級のワイン・コンペティション「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」において、日本を代表するワインメーカー、メルシャンとサントリーが相次いで金賞に輝き、日本ワインの確かな存在感を国際舞台で改めて印象づけました。
2025年4月、ロンドンで開かれた世界最大級のワイン・コンペティション「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」には、世界30か国以上から200人を超える審査員が集い、日本からも多数の審査員やワインが参加しました。筆者自身も今年、正式なジャッジとしてこの場に立ち、日本ワインが国際的にどう評価されているのかを肌で実感しました。
ブルゴーニュの名手エティエンヌ・ド・モンティーユが、サンタ・バーバラと北海道という異例の地に新たな挑戦を始めたのは2017年。日本のワイン造りに心を動かされた彼は、函館に15haの畑とワイナリーを構え、2023年には初収穫を迎えました。「ここは、ほかにはないエレガントで旨味を湛えたワインが生まれる場所」と語る彼の挑戦が、北海道の可能性を照らし出しています。
〜高価格帯が苦戦、クレマンに希望〜 2024年のフランスワインとスピリッツの輸出額は、前年比4%減の約155億6,000万ユーロとなり、2年連続のマイナス成長となりました。ただし、輸出「量」はほぼ横ばい(−0.1%)で、1億7,400万ケースと安定。つまり、“売れはしたけど単価が下がった”という構図です。
(出典:RaboResearch “The real reasons Generation Z is drinking less alcohol”, Apr 2025) Z世代(1997年以降生まれ)は、過去のどの世代よりも「飲まない」傾向がはっきりしています。その理由は「健康志向」だけではありません。RaboResearchの最新レポートでは、Z世代のアルコール離れは、社会構造・テクノロジー・経済背景・人口構成といった多角的な要因によるものと分析されています。
世界中でワインのグラスを傾ける回数が、静かに減少しているようです。OIV(国際ブドウ・ワイン機構)が発表した2024年の統計によると、世界のワイン消費量は2億1400万ヘクトリットルと、実に1961年以来の最低水準に落ち込みました。前年比では3.3%の減少で、3年連続の減少となります。 背景には、長引くインフレによる購買力の低下、若年層の飲酒離れ、そしてライフスタイルや価値観の変化が挙げられています。OIVのジョン・バーカー事務局長も「世代交代と消費者行動の変化」を今後の鍵として注視しています。
2024年のサン・ジュリアンは、厳しい気候条件にもかかわらず、クラシックなエレガンスと現代的な洗練が見事に融合したワインが生まれました。平均収量は32.5hl/haと、前年から約55%減少しましたが、これにより果実の凝縮感が高まり、品質の向上につながりました。このヴィンテージは、熟成によるさらなる進化が期待される、真のクラレット愛好家向けの逸品です。
2024年のボルドーにおけるポイヤックは、収量が平均29.5hl/haと主要4アペラシオン中で最も低く、その厳しさが際立った年でした。冷涼な春と多雨の夏により病害圧が高まり、特にミルデュー(ベト病(downy mildew)との戦いは過酷を極めました。それでも、丁寧な畑管理と果敢な判断により、素晴らしい完成度を誇るワインがいくつも生まれています。 ラフィットは果敢な対応の末、わずか11hl/haという収量でありながら、気品あるアロマと伸びやかなテクスチャーを実現。一方、ムートンは雨中での収穫となったものの、厳選されたぶどうと新技術の導入により、重厚で構造的な味わいを保ちました。 また、ポンテ・カネやピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランドは「リスクを取る」選択をし、粘り強い収穫作業と穏やかな醸造で、味わいの奥行きを持ったワインに仕上げました。ブドウの成熟を待ち、酸と果実味、タンニンの三位一体が見事に調和したワインには、クラシックな美しさが漂います。 この年は、果実の凝縮感というよりも、構造美とフレッシュな酸、そしてエレガンスが光るスタイルが主流となりました。タンニンは時にタイトで厳しめに感じられますが、それがむしろワインの骨格を際立たせ、長熟のポテンシャルを示しています。