EyeCatch

2025.06.26

商品紹介産地情報

サロンのワイン造りを解剖、深みと複雑性を増した2013年(シャンパーニュ2025)

サロンは、メニル・シュール・オジェ村のシャルドネだけで造られる、孤高のシャンパーニュ。その醸造は、傘下のローラン・ペリエの熟練シェフ・ド・カーヴ、オリヴィエ・ヴィニュロンが指揮する。今回、ローラン・ペリエとともにその現地を訪れ、4度目となる「サロン2013」の試飲と、ラグジュアリー・シャンパーニュの裏側にある精緻な造りに触れた。

「ベスト・オブ・ベスト」──選ばれし区画のみを用いる哲学

サロンに使われるのは、メニル村の19区画からなる厳選されたシャルドネのみ。

所有する15軒の農家との契約は極めて厳格で、栽培はリュット・レゾネ(減農薬農法)が義務付けられている。作業は細部に至るまで管理され、選果では「中腹の区画」が最も優れているとされる。いかなる年でも、使用する区画は品質次第で柔軟に見直され、サロンにふさわしくないと判断されたブドウは、姉妹メゾンであるドゥラモットに用いられる。

かつてローラン・ペリエのシェフ・ド・カーヴだったアラン・テリエに師事した現社長ディディエ・ドゥポン氏は、畑でブドウを味わいながら「これはサロンには向かない」と語る師の姿勢を今も胸に刻む。収穫から醸造、瓶内熟成まで、すべてが「ベスト・オブ・ベスト」の哲学のもとに行われている。

サロン2013──洗練の極致に宿る緊張感と奥行き

今回試飲した「サロン2013」は、リリース時よりもさらに深みと精緻さを増し、サロンの真髄を静かに語りかけてくるような1本だった。レモンオイル、柑橘、オレンジの皮といったフレッシュなアロマに、ペイストリーやヨード、ほのかなうま味が重なる。ピンポイントの繊細な泡立ち、クリーミーで彫りの深い骨格、そしてチョーキーなミネラル感がフィニッシュまで美しく続く。ドザージュは5.5g/L。評価は97点。

サロン / ブラン・ド・ブラン

サロン / ブラン・ド・ブラン 2013

¥184,800 (税込)

S05香ばしエレガント系スパークリングワイン
長熟
カルトワイン
一度は飲みたい有名銘柄

スパークリング - 辛口シャルドネ100%

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フランス/シャンパーニュ地方 /コート・ド・ブラン /ル・メニル・シュル・オジェ

なお、次のヴィンテージは「サロン2015」。本来予定されていた2014を飛ばし、既にピュピトルで熟成中の姿も確認された。さらに2018年のキュヴェもセラーにストックされており、今後の展開が楽しみだ。

テロワールに宿るサロンの個性、そして人の技

サロンはシングル・クリュでありながら、区画を精査してブレンドする「ベスト・オブ・ベスト」の手法をとる点で、ブルゴーニュのドメーヌとは一線を画す。あくまで「メニルらしさ」のエッセンスを研ぎ澄まし、さらにそこに人の審美眼を加えることで、唯一無二のワインが生まれる。

そして、その根幹にあるのは、サロンというブランドに誇りをもってブドウを育てる栽培農家たちの存在と、それを支えるディディエの情熱と信頼関係だ。社長自らが農民と暮らし、土地に根を張ることで、サロンの哲学が一貫して守られている。

サロンを輸入するのはラック・コーポレーション。入手は非常に限られるが、手にできたときの感動は計り知れない。シャンパーニュの真髄を知るには、サロンという存在に触れることが欠かせない。