EyeCatch

2026.02.19

トレンド商品紹介

ポスト・シャルドネ時代の到来:今こそ注目すべき「次世代」ブドウ品種

ワインの世界において、今最もエキサイティングな変化は「多様化」です。わずか10年前、世界のワインリストを独占していたのはカベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネといった「国際品種」でした。しかし2026年現在、プロ向けのテイスティングのテーブルにカベルネが1本もないことすら珍しくありません。 私たちは今、フランス由来の品種という呪縛から解き放たれ、その土地固有のアイデンティティを持つ「地元のブドウ」を再発見する黄金時代にいます。

1. ギリシャ:古代からの「酸」の宝庫

ギリシャは今、世界中のワイン愛好家や生産者が最も熱視線を送る産地の一つです。

  • アシルティコ(Assyrtiko) サントリーニ島原産のこの白ブドウは、酷暑の中でも驚異的なフレッシュさとレモンのような鋭い酸を維持します。そのポテンシャルに惚れ込み、オーストラリアや南アフリカのトップ生産者たちが自国に導入するほど、「高温適応型」の高級品種として不動の地位を築きつつあります。
キリ・ヤーニ / アシルティコ フロリナ

キリ・ヤーニ / アシルティコ フロリナ 2024

¥2,900 (税込)

W08個性派スパイシー系白ワイン

白 - 辛口アシルティコ100%

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ギリシャ/マケドニア地域

  • ヴィディアーノ(Vidiano) クレタ島で絶滅の危機を乗り越えたこの品種は、豊かな果実味としっかりした酸を併せ持ち、「クレタの白ワインの星」として注目されています。
  • クシノマヴロ(Xinomavro) 赤ワインでは、北マケドニアのクシノマヴロが重要です。イタリアのネッビオーロ(バローロの品種)に匹敵する高い酸とタンニン、そして長期熟成能力を備えており、「より手の届きやすい、しかし真剣な熟成ワイン」を求める層に支持されています。
キリ・ヤーニ / ザ・フォーレン・オーク キティマ

キリ・ヤーニ / ザ・フォーレン・オーク キティマ 2020

¥3,040 (税込)

R09重厚&スパイス系赤ワイン

赤 - 辛口クシノマヴロ50%、メルロー30%、シラー20%

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ギリシャ/マケドニア地域

2. ポルトガル:ブルゴーニュに匹敵する「骨格」

ポルトガルもまた、カベルネやシャルドネ崇拝とは一線を画し、独自の固有品種を守り抜いてきた国です。

  • エンクルザード(Encruzado) ダン地方が生んだこの白ブドウは、オーク熟成を経ることで本格的な白のブルゴーニュに匹敵する深みと骨格を現します。
  • アリント(Arinto) ポルトガル全土で栽培されるアリントは、鋼のように芯の通った優雅さが魅力です。特に入手困難なアゾレス諸島の火山島で造られるアリント(現地名セルシアル)は、海を感じさせるピュアな塩気と強烈な酸が、冒険心のある愛好家を虜にしています。

アート・テッラ クルティメンタ

アート・テッラ クルティメンタ 2023

¥2,130 (税込)

W10渋味&旨味広がる白ワイン

オレンジワイン - 辛口アンタンヴァズ50%、アリント45%、ヴィオニエ5%

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ポルトガル/アレンテージョ地方

サント・イシドロ・デ・ペゴエス・アデガ / エシュプマンテ エクストラ・ブルート ホワイト・スパークリング

サント・イシドロ・デ・ペゴエス・アデガ / エシュプマンテ エクストラ・ブルート ホワイト・スパークリング N.V.

¥1,850 (税込)

S02すっきりフルーティ系スパークリングワイン

スパークリング - 辛口フェルナン・ピレス80%、アリント20%

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ポルトガル/セトゥーバル地方

3. イベリア半島の「ジューシーな個性」

  • メンシア(Mencía) スペイン北西部の急峻な段々畑で栽培されるメンシアは、定番のテンプラニーリョよりもはるかに香り高くジューシー。片岩土壌から生まれる複雑なメンシアは、ピノ・ノワールやシラーのエレガントな中間を行くような、現代的な魅力を放っています。
アルベルト・オルテ / ア・ポルテラ

アルベルト・オルテ / ア・ポルテラ 2019

¥5,610 (税込)

R11しっとり&赤ベリー系赤ワイン

赤 - 辛口メンシア100%

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スペイン/ガリシア州 /バルデオラス

4. フランス:再評価される「格下」と「放浪者」

伝統的なフランス品種の中でも、かつての序列が変わりつつあります。

  • アリゴテ(Aligoté) ブルゴーニュで長くシャルドネの陰に隠れ、酸っぱすぎる「格下」とされてきたアリゴテですが、近年の夏の気温上昇がこの品種に完璧な熟度を与えました。古樹から造られるトップクラスのアリゴテは、今や最高級のシャルドネと同等の敬意を持って扱われています。
ティエリー・モルテ / ブルゴーニュ アリゴテ

ティエリー・モルテ / ブルゴーニュ アリゴテ 2022

¥3,960 (税込)

W07穏やかドライ系白ワイン

白 - 辛口アリゴテ100%

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フランス/ブルゴーニュ地方

ファビアン・コシュ / ブルゴーニュ アリゴテ ヴィエーユ・ヴィーニュ

ファビアン・コシュ / ブルゴーニュ アリゴテ ヴィエーユ・ヴィーニュ 2022

¥5,150 (税込)

W05コクありバランス系白ワイン

白 - 辛口アリゴテ100%

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フランス/ブルゴーニュ地方

  • トゥルソー(Trousseau) ジュラ地方の赤ブドウ、トゥルソーは、その花の香りと本能的な魅力でファンを増やしています。ポルトガル(バスタルド)からカリフォルニアまで、世界中を旅して名前を変えながら愛される、まさに「グローバルな放浪品種」です。

結論:ありふれた定番からの脱却

もはやワイン選びにおいて「知っている名前」だけを頼りにする時代は終わりました。カディスのティンティーリャ・デ・ロタやイタリアのティモラッソなど、リストの隅にある知名度の低い品種に一歩踏み出すことは、変化し続ける気候の中で、新しい「テロワールの表現」に出会うことに他なりません。

参考文献

  • Robinson, J., 2026. Grapes to watch. [online] JancisRobinson.com. Available at: https://www.jancisrobinson.com/articles/grapes-watch [Accessed 31 January 2026].

基本の復習:ブドウの家系図

現代のDNA分析により、ブドウの意外な親子関係が明らかになっています。

  • 巨大な家系: シャルドネ、アリゴテ、メロン(ミュスカデ)などはすべて、ピノ(Pinot)と、今は無名なグエ・ブラン(Gouais Blanc)の子孫です。
  • サヴァニャンの重要性: ジュラの白ブドウ、サヴァニャンは非常に多産な親であり、シュナン・ブラン、ソーヴィニヨン・ブラン、さらにはシラーやヴィオニエの家系とも繋がる、まさに「ワイン品種界の始祖」的な役割を果たしています。
  • カベルネのルーツ: カベルネ・ソーヴィニヨンは、スペイン・バスク地方由来のカベルネ・フランと、ロワール由来のソーヴィニヨン・ブランの自然交配から生まれたことが判明しています。