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世界三大貴腐ワイン|ソーテルヌ・トカイ・TBA

世界三大貴腐ワイン|ソーテルヌ・トカイ・TBA

ソーテルヌ、トカイ、TBA──貴腐によって生まれる甘美な味わいの特徴、製法の違い、サービスとペアリングをわかりやすく解説します。

貴腐ワインとは

貴腐ワインはボトリティス・シネレア(貴腐菌)の影響を受けたブドウを原料に造られます。貴腐菌が果皮の水分を蒸発させ、糖や酸、香り成分が凝縮することで、独特の蜂蜜やアプリコット、乾燥フルーツのニュアンスが生まれます。収穫は通常手摘みで、選果(セレクション)を重ねて健全な貴腐果だけを集めます。

ソーテルヌ

フランス・ボルドーのソーテルヌは、セミヨンを中心にソーヴィニヨン・ブランやミュスカデルが使われます。ガロンヌ川や周辺の湿潤な気候が霧を生み、貴腐菌の発生を助ける点が特徴です。味わいは蜂蜜、アプリコット、ナッツのような熟成香があり、酸と甘さのバランスが良いことで知られます。

ソーテルヌの楽しみ方

  • 適温: 8〜12℃程度でやや冷やして
  • グラス: チューリップ型グラスがおすすめ
  • ペアリング: フォアグラや濃厚なチーズとは味覚の同調・補完が働き、デザートともよく合う

トカイ

ハンガリーのトカイ(トカイ地方)は古くから貴腐ワインで名高く、主要品種はフルミントやハールシュレヴェリューなどです。トカイの伝統的な製法にはアズー(Aszú)と呼ばれる選別果を糖液や若いワインに漬け込む工程があり、独特のテクスチャーと長い余韻が生まれます。蜂蜜や乾燥アプリコット、シトラスの皮のような香りが特徴です。

トカイの楽しみ方

  • 適温: 8〜12℃程度でやや冷やす
  • グラス: チューリップ型グラスで香りを集める
  • ペアリング: フルーツタルトやナッツ菓子とは同調し、塩気のある前菜とは補完が期待できる

TBA(トロッケンベーレンアウスレーゼ)

TBAはドイツ語でトロッケンベーレンアウスレーゼを指し、極めて糖度の高い貴腐果や乾燥果から造られる非常に濃縮された甘口ワインを示します。代表的な原料はリースリングなどの白ブドウで、非常に長い余韻とハチミツ、トフィー、シロップ状の果実香を持ちます。生産量は限られ、選果と手間を要するため希少性が高いスタイルです。

TBAの楽しみ方

  • 適温: 6〜10℃でやや冷やすとバランスがよくなる
  • グラス: 小さめのチューリップ型グラスで香りを集中させる
  • ペアリング: 濃厚なデザートやブルーチーズとは補完が働き、果実やナッツ菓子とは同調する

製法の違いと酒精強化ワインとの比較

貴腐ワインは貴腐菌による糖と香りの凝縮で甘みをつくります。一方で酒精強化ワイン(フォーティファイドワイン)は発酵中または発酵後にグレープスピリッツを添加してアルコール度数を高めて造られます。添加のタイミングで残糖や味わいが変わります。

添加タイミング結果代表例
発酵中糖分が残り甘口にポート(ルビー、トウニー)
発酵後ドライな味わいシェリー(フィノ、マンサニージャ)

なお、ソーテルヌやトカイ、TBAは基本的に酒精強化を行わない貴腐ワインであり、甘さは貴腐果そのものから生まれます。酒精強化ワインの代表例としてシェリーやポートがあり、製法や風味が大きく異なります。

サービスとペアリングの実践ポイント

貴腐ワインは香りと甘さのバランスが命です。温度管理とグラス選びが重要で、チューリップ型グラスを使うと香りがまとまり、少量ずつゆっくりと味わうのが向いています。

  • 前菜やフォアグラ: リッチな味わいとは味覚の同調・補完が働く
  • ブルーチーズ: 甘さと塩味の補完で互いの魅力が引き立つ
  • フルーツタルトやナッツ菓子: 果実味が同調してやさしい相乗効果を生む

購入と保存のポイント

貴腐ワインは同じラベルでもヴィンテージごとの出来に差が出ます。購入の際は生産者のスタイルや酸と甘さのバランスを確認するとよいでしょう。保存は直射日光を避け、涼しい場所で立てて保管します。開栓後は冷蔵保存し、数日から数週間で飲み切るのが無難です(タイプによって持ち味の持続性は異なります)。

まとめ

  • 貴腐ワインは貴腐菌で果実が凝縮し、蜂蜜やドライフルーツの香りを生む。ソーテルヌ、トカイ、TBAは産地と製法で個性が異なる。
  • これらは基本的に酒精強化を行わない甘口ワインであり、酒精強化ワインは添加のタイミングにより味わいが変わる点が異なる。
  • サービスはチューリップ型グラスと適温がカギ。ペアリングは味覚の同調・補完の視点で組み合わせると相乗効果が得られる。

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