ワインの造り方|ぶどうがお酒になるまでの流れ
ブドウがどのようにワインになるかを、主要な6タイプを含めて工程ごとにわかりやすく解説します。初心者向けの選び方や歴史的出典も紹介。
ワインとは何か
ワインはブドウを発酵させて造るアルコール飲料です。果汁中の糖を酵母の働きでアルコールに変えるため、穀物や水を加えずに醸造できる点が特徴です。品種や産地、醸造法によって味わいは大きく変わります。この記事では「ワインの造り方」を軸に、基本工程とタイプ別の違い、選び方までをやさしく説明します。
主要な6タイプ
- 赤ワイン:黒ブドウを皮や種とともに発酵させ、色とタンニン(渋み)を抽出する。
- 白ワイン:白ブドウ(または黒ブドウでも果汁のみ)を搾って果汁だけを発酵させる。酸味が特徴。
- ロゼワイン:黒ブドウを短時間皮と接触させて色を移し、淡いピンク色に仕上げる。
- スパークリングワイン:発酵で生じた二酸化炭素をワインに残し泡立たせる。瓶内二次発酵など製法が複数ある。
- 酒精強化ワイン:発酵中または発酵後にブランデー等を加えて度数を高めたワイン(例:ポート、シェリー)。
- オレンジワイン:白ブドウを皮ごと長時間発酵させ、タンニンや色素を抽出してオレンジ色にしたワイン。
ワインの歴史と出典
起源の証拠
ワインの起源は古く、約8,000年前に現在のジョージアでブドウを発酵させていた痕跡が確認されています(出典: 考古学的調査、ジョージアのクヴェヴリ遺跡に関する研究)。この地域では土器(クヴェヴリ)を使った醸造が長く続き、現在もクヴェヴリ製法が行われています。
近代の転機
近代では1976年のパリスの審判が新世界ワインの評価を大きく変えました。これは1976年にスティーブン・スパリュア主催で行われたブラインドテイスティングで、カリフォルニア産ワインが高評価を得た出来事です(出典: スティーブン・スパリュア主催、1976年)。
遺伝学的研究の貢献
近年のDNA解析はブドウ品種や起源の特定に貢献しています。代表的な研究として、UCデイビスのCarole Meredith博士らによる品種関係の研究があり、親子関係や系統の解明に寄与しました(出典: UCデイビス、Carole Meredith博士の研究)。
ブドウが酒になるまでの基本工程
- 収穫(ハーベスト): 収穫時期は糖度と酸のバランスで決める。手摘みと機械摘みがある。
- 除梗・破砕: 茎を取り除き果実を潰す。赤は皮ごと、白は果汁のみを扱う。
- 圧搾: 白は先に圧搾して果汁を取り出す。赤は発酵後に圧搾する。
- 発酵: 酵母が糖をアルコールと二酸化炭素に分解する。温度管理で香味が左右される。
- マロラクティック発酵(MLF): 乳酸菌によりリンゴ酸が乳酸に変換される。酸味が穏やかになりまろやかな口当たりが生まれる。
- 熟成: ステンレスタンクやオーク樽など容器と期間で風味が変わる。
- 瓶詰め: 熟成後にろ過や調整を行い瓶詰めする。スパークリングは瓶内二次発酵など特別工程がある。
発酵とMLFの科学的背景
発酵は微生物の働きによる生化学的な過程です。酒造酵母は果汁中の糖を取り込み、アルコールと二酸化炭素に変換します。この過程は温度や栄養状態、酸度に影響され、ワインの香りや果実味に直結します。マロラクティック発酵(MLF)は主に赤ワインや一部の白ワインで用いられ、乳酸菌によりリンゴ酸が乳酸に変換されるため、酸味が穏やかになり口当たりがまろやかになります。
赤ワインと白ワインでの工程の違い
赤ワインは皮や種とともに発酵させるため、色素やタンニンが抽出されます。これが渋みや構造の源になります。一方、白ワインは先に果汁を搾ってから発酵させるため、タンニンは少なく酸味や果実味が中心となります。ロゼは短時間の皮接触で色を抜く点が赤と白の中間です。オレンジワインは白ブドウでも皮ごと長時間発酵させる点で赤ワイン寄りの工程を取ります。
製法が味に与える影響
発酵温度は香りの立ち方に影響します。低温発酵はフレッシュな香りを残し、高温発酵は抽出や熟成ポテンシャルが高まります。容器も重要で、オーク樽はバニラやトースト香を与え、ステンレスはブドウ本来のフレッシュさを保ちます。シュール・リーは澱と接触させた熟成により旨みが増す技法で、白ワインの厚み付けに有効です。
初心者向けの選び方と保存の基本
- ブドウ品種で選ぶ: 好みの傾向を知ると選びやすい。例としてカベルネ・ソーヴィニヨンはタンニンが強い傾向がある。
- 産地で選ぶ: 同じ品種でも産地で酸味や果実味が変わる。
- 価格帯で選ぶ: デイリーは1,500〜3,000円帯で幅広く楽しめる。
保存は温度変化の少ない涼しい場所が基本で、理想は12〜15℃程度。横置き保存でコルクの乾燥を防ぎます。開栓後は冷蔵庫保存し、できるだけ早めに飲み切るのが無難です。
さらに知っておきたい点
醸造家の判断で同じブドウでも大きく異なるワインが生まれます。果実の熟度、発酵温度、MLFの実施有無、熟成容器の選択は重要な変数です。また近年は遺伝学や微生物学の知見が醸造改善に役立っています。
まとめ
- ワインはブドウを発酵させて造る。発酵では酵母が糖をアルコールと二酸化炭素に分解するため、果汁が酒になる。
- 製法で味は大きく変わる。皮の扱い、発酵温度、熟成容器、MLFの有無が風味の主要因になる。
- 主要6タイプ(赤ワイン・白ワイン・ロゼワイン・スパークリングワイン・酒精強化ワイン・オレンジワイン)を押さえると選び方と楽しみ方が広がる。
出典: ワインの起源に関する考古学的調査(ジョージアのクヴェヴリ遺跡)、パリスの審判(主催: Stephen Spurrier, 1976年)、DNA解析研究(UCデイビス、Carole Meredith博士ら)。各史実・研究に関しては専門文献をご参照ください。