甘口ワインの種類|貴腐・アイスワイン・遅摘み

甘口ワインの種類|貴腐・アイスワイン・遅摘み

貴腐、アイスワイン、遅摘み──甘口ワインの代表的な種類と特徴、製法、ペアリング、関連するワインタイプを初心者向けにわかりやすく解説します。

甘口ワインとは

甘口ワインは、発酵で残る糖分が比較的多いワインを指します。造り手は糖度を高めたり、発酵を途中で止めたり、あるいは酒精を添加してアルコール度数を上げる方法を用いて意図的に甘さを残します。発酵とは「酵母が糖をアルコールと二酸化炭素に分解」する過程であり、その進行具合をコントロールすることで味わいが決まります。

主要な甘口ワインの種類

貴腐ワイン

貴腐ワインは、ブドウが貴腐菌(Botrytis cinerea)に感染することで果実の水分が蒸発し、糖と風味が凝縮することで生まれます。典型的には黄色い蜜のような香りやアプリコット、はちみつのニュアンスが出ます。代表的な産地にはフランスのソーテルヌ、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ(高品質甘口の分類)などがあります。貴腐化は気候条件に左右されやすく収量が不安定になるため、希少性が出ることがあります。

アイスワイン

アイスワインは収穫時にブドウを自然に凍らせた状態で搾汁することで、水分が凍り果汁中の糖分と酸が濃縮されるスタイルです。カナダやドイツの冷涼地域が代表産地で、氷点下での収穫が必要なため非常に天候依存性が高いです。アイスワインは鮮烈な酸と凝縮した果実味を伴い、冷たいデザートや熟成したチーズとよく合います。

遅摘み(レイトハーベスト)

遅摘みは文字どおり通常より遅く収穫することで糖度を高めたブドウから造られます。自然に糖が高まるため、貴腐や凍結のような劇的な変化はない一方で、濃厚な果実味と蜂蜜のような豊かな甘さが特徴です。遅摘みは多様な品種で行われ、造り手の意図により辛口寄りから極甘口まで幅広いスタイルが作られます。

ワインタイプと甘口ワイン

甘口は特定のスタイルに限定されません。以下の6つのワインタイプそれぞれで甘口が存在します。赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、スパークリングワイン、酒精強化ワイン、オレンジワイン。例えば赤ワインで甘口に仕立てる場合は糖度の高い黒ブドウ品種を用いるか、酒精強化して甘さを残す方法が取られます。オレンジワインは白ブドウを皮ごと発酵するため独特のタンニン感とともに甘口が成立することがあります。

スタイル特徴ぶどうの状態代表的な産地
貴腐ワイン貴腐菌で水分が蒸発し糖が凝縮、はちみつやアプリコットの香り貴腐化した濃縮ぶどうフランス・ソーテルヌ、ドイツ
アイスワイン凍結によって水分が氷結し糖と酸が濃縮、鮮やかな酸味自然に凍ったぶどうを搾汁カナダ、ドイツ
遅摘み収穫を遅らせ自然に糖度を上げる、豊かな果実味完熟したぶどう(貴腐や凍結は伴わない場合も)各地(生産者の判断による)

製法のポイントと科学的背景

甘口ワイン造りでは糖度の管理と発酵の制御が重要です。前述のとおり発酵は「酵母が糖をアルコールと二酸化炭素に分解」する過程で、酵母の活動を抑えたり停止させると糖が残ります。酒精強化ワインではアルコールを添加して発酵を止め、甘さを残す手法もあります。マロラクティック発酵(MLF)については、マロラクティック発酵(MLF)は、乳酸菌の働きによりワイン中のリンゴ酸が乳酸に変換される過程。これにより酸味が穏やかになり、まろやかな口当たりが生まれます。貴腐化はBotrytis cinereaによるものですが、菌の働きで水分が失われ糖と香り成分が濃縮される点が鍵です。

選び方とペアリング

  • 貴腐ワイン:フォアグラや青カビチーズと同調して濃厚な甘みと旨みが響き合う
  • アイスワイン:フルーツタルトや軽いクリーム系デザートと橋渡しになる
  • 遅摘み:ナッツや焼き菓子、和の甘味と補完し合う
  • 酒精強化甘口:チョコレートや濃厚なデザートソースと相性がよい

簡単な歴史と出典

ワインの起源は約8,000年前に現在のジョージアで始まったとされます(考古学的調査)。近代史では1976年にスティーブン・スパリュア主催のパリスの審判があり、ニューワールドワインが世界的注目を集める転機になりました(1976年、スティーブン・スパリュア主催)。品種の起源や親子関係の解明ではDNA解析が進み、1996年にUCデービスのキャロル・メレディス博士らの研究でカベルネ・ソーヴィニヨンの親品種が特定されるなど、学術機関の成果が品種理解を深めています(出典: UCデービスの研究)。

まとめ

  • 貴腐、アイスワイン、遅摘みは糖を凝縮することで甘さと凝縮感を生む代表的な方法で、それぞれ風味とリスク(天候依存性など)が異なる。
  • 甘口は赤・白・ロゼ・スパークリング・酒精強化・オレンジの6つのワインタイプで作られうる。製法と酵母管理で甘さの度合いやバランスが決まる。
  • 発酵は酵母による糖の分解であり、MLFは「乳酸菌によりリンゴ酸が乳酸に変換」される過程で、酸味と口当たりに影響する。

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