バトナージュとは|澱かき混ぜの目的と効果
バトナージュは発酵後の澱(おり)を定期的にかき混ぜる手法です。旨みやテクスチャーを高める一方、実施方法やタイミングでリスクも生じます。初心者向けに目的と注意点を解説します。
バトナージュとは
バトナージュとは、発酵後や熟成中のワインタンクや樽内で澱(おり)を棒などでかき混ぜる作業を指します。澱とは主に酵母の死骸やタンパク質で、これらと接触することで旨み成分や多糖類、マンノプロテインなどがワインに移行します。シュール・リー(澱と接触させた熟成)と組み合わせることで、より滑らかな口当たりや味の厚みが得られます。
目的と効果
味わいへの影響
バトナージュによって澱中の成分が溶け出し、ワインに厚みや丸みが出ます。口当たりがまろやかになり、アタックの角が取れて余韻が豊かになる傾向があります。また、タンニンの収斂感が和らぐ場合があり、白ワインや軽めの黒ブドウ品種を使ったワインで効果的です。
香りとテクスチャーへの影響
澱由来の成分は香りにも影響します。果実香を邪魔せずに複雑さや熟成香のベースを作ることが多く、ナッツやブリオッシュのようなニュアンスが出ることがあります。さらに、多糖類の影響で口内の粘性が増し、テクスチャーが豊かになります。
実施方法とタイミング
バトナージュは頻度や手法が多様で、目的に合わせて調整します。一般的には発酵終了直後から数週間、あるいは熟成期間中に数回行う方法があります。手作業で棒を使ってかき混ぜる伝統的な方法のほか、ポンプで循環させる方法や、軽く撹拌する機械的手法もあります。
- 発酵直後に軽く1〜2回:フレッシュさを残しつつボディを補う
- 週1回の繰り返し:徐々に厚みを出す(シュール・リーと併用)
- 樽熟成中に間欠的に実施:樽由来の香りと調和させる
メリットとリスク
| カテゴリ | 利点 | 注意点 |
|---|---|---|
| 味わい | 厚みや丸みが増す | やり過ぎると重たくなる |
| 安定性 | 澱由来の成分でタンパク質安定性が改善される場合がある | 微生物管理が不十分だと雑味の原因になる |
| 香り | 複雑さや熟成香の基礎が出る | 長時間の接触で還元臭(還元的な香り)が出る可能性 |
判断基準と実務上のポイント
バトナージュを行うかどうかは、ブドウの熟度、品種、醸造スタイル、目指すキュヴェの個性で判断します。樽香を生かしたい場合は樽熟成との相性を考慮します。還元的な香りを避けるためには換気やSO2管理、澱の状態の観察が重要です。また、白ワインではフレッシュ感を残すために回数を抑えることが多く、オレンジワインや自然派ワインでは処理が異なる場合もあります。
シャンパーニュに関する補足:シャンパーニュというアペラシオンは、定義された原産地において、その土地特有のテロワールと、定められた栽培・醸造規定に基づいて造られたスパークリングワインにのみ使用が認められています。
まとめ
- バトナージュは澱とワインを接触させ、旨みとテクスチャーを高める手法です。
- 効果は品種や熟成方法、目的によって異なり、回数やタイミングの管理が重要です。
- 過度な実施は酸化や還元臭などのリスクを招くため、観察と管理が必要です。