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水平テイスティング会|同年違う生産者を比較

水平テイスティング会|同年違う生産者を比較

同年の異なる生産者を並べて比較する水平テイスティング会の進め方と実践的な温度管理、グラス選び、失敗回避を具体手順で解説します。

水平テイスティング会の目的

水平テイスティング会は「同年違う生産者」を並べることで、テロワールや醸造の差を明確に感じ取る訓練です。比較がしやすくなるため、香りや味わいの差異を評価しやすくなります。初心者はまず3〜5本程度から始めると負担が少ないです。

準備と器具

ワインの選び方

同じヴィンテージのワインを生産者別に揃えます。品種が同じ場合は比較が素直に出ますが、産地や醸造が異なると変化の要因が増えます。初心者は同一品種・同一ヴィンテージ・同一カテゴリー(例: ミディアムボディ赤)を揃えると比較がわかりやすくなります。

グラス選びの基本

グラスは全員で統一することが重要です。標準ガイドに従うと以下が目安です。

ワインタイプ推奨グラス
フルボディ赤チューリップ型
ライトボディ赤バルーン型
白ワイン全般チューリップ型
スパークリングワインフルート型

温度管理の基本と器具

温度管理は比較の公平性に直結します。ワインごとに適温を揃えておくと、香りの開きやタンニンの感じ方が揃い、差異が明確になります。温度計(ワインサーモメーター)を1本は用意すると精度が上がります。

ワインタイプ適温
フルボディ赤16-18℃
ミディアムボディ赤14-16℃
ライトボディ赤12-14℃
フルボディ白10-12℃
ライトボディ白8-10℃
スパークリングワイン6-8℃
甘口・デザートワイン6-8℃
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温度が低いと渋みや苦味が強調され、温度が高いとアルコール感が立ちやすくなります。適温で飲むことで、ワイン本来の香りと味わいのバランスが最も良く感じられます。

当日の進行手順

  • ワインの受け取りとラベリング:番号のみで表示し、ブラインドにする。
  • 温度確認:テーブルに出す直前にワインサーモメーターで各ボトルを確認する。例えばミディアムボディ赤は14-16℃で揃える。
  • グラスを配る:グラスは統一。白はチューリップ型、ライト赤はバルーン型など。
  • 注ぐ量:テイスティングは30〜50ml程度。順番は軽いものから重いものへ。
  • 評価の共有:外観→香り→味わいの順でメモ、最後に全員でディスカッション。

代替案:温度計がない場合は冷蔵庫や氷水を活用します。白やスパークリングは冷蔵庫で3時間以上、または氷水で20〜30分冷やします。赤を少し冷やしたいときは氷水に10〜20秒浸すか、冷蔵庫の野菜室(約8℃)で短時間冷やしてから室温に戻す方法もあります。氷を直接入れるのは風味が薄まるため原則避けてください。

やってはいけないこと(失敗回避)

  • 赤を日本の高い室温のままで提供すること:夏場は冷蔵庫で30分〜1時間冷やす。
  • グラスを混在させること:香りの印象が変わるため統一する。
  • 注ぎすぎて飲み比べができなくなること:テイスティングは少量で複数回試せるようにする。
  • ワインの順番を重いものから始めること:軽いものから始めると比較がしやすい。
  • 香りを嗅いだ後に香水や強い匂いのある食べ物を摂ること:鼻が鈍るため避ける。

テイスティングの評価ポイント

外観・香り・味わいの順序

評価は外観→香り→味わいの順が基本です。外観では色の濃さや輝きを見ます。香りは初嗅ぎと時間経過での変化を見ると差が出ます。味わいでは酸味、タンニン、果実味、余韻を順に確認します。専門用語は初出時に説明します(余韻=アフターテイスト、アロマ=香り)。

比較時に注目する項目

  • 酸味の強さと質感:酸味がワインの骨格を作る。
  • タンニンの質:渋みが和らぐかどうか、収斂感の違いを感じる。
  • アルコールの印象:温度が高いとアルコール感が目立つ傾向がある。
  • 果実味の種類と濃度:赤系/黒系のニュアンスや熟度の違い。
  • 樽や発酵由来の香り:バニラやスパイス感の有無。

比較表現を使う際は「傾向として」「〜の方が〜を感じやすい」といった限定表現を用いると公平です。例えば「ある生産者はタンニンが強い傾向がある」「別の生産者は酸味が前に出る傾向がある」などと表現します。

同年違う生産者を比較するコツ

同年の比較ではヴィンテージ由来の共通点があるため、生産者の違いがより明確に出ます。注目点はブドウの熟度感、抽出の強さ、樽使用の有無、発酵管理の違いです。比較は同一条件(グラス、温度、注ぎ量)で行うことが前提です。

  • 同じヴィンテージで果実の熟度がどう違うかを見る。
  • タンニンの粒子感やまろやかさを比較する。
  • 酸の質(シャープか柔らかいか)で生産者の収穫時期の差を推測する。
  • 樽香の強さとその影響を確認する。
  • アルコール感は温度にも左右されるため温度を揃えて評価する。

失敗例とその対策

  • 順番を無視して重いものを先に出してしまう:軽い順に出す。
  • 温度差で印象が変わる:必ずサーモメーターで確認するか、同時に出す直前に冷却する。
  • 香りを比較する前に強い香りを嗅いでしまう:香りの強い食べ物や香水は避ける。
  • ラベリングが甘くて混乱する:番号管理と評価用紙を用意する。

まとめ

  • 準備を揃えることが結果を左右する:グラス、温度(数値で)、注ぎ量を統一する。
  • 比較は傾向を読むことが目的:限定的な表現で差を記述し、同一条件で観察する。
  • 実践と記録を繰り返すこと:少量で複数回試し、メモを残して経験を積む。

水平テイスティング会は技能向上に非常に有効です。まずは少人数で実践し、温度管理やグラスの統一など基本を守ることで比較力が確実に上がります。

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