レイトハーベストとは|遅摘みワインの甘さの秘密
レイトハーベストは遅摘みぶどうを用いたデザートワインの総称。糖度が高く濃密な甘さが特徴で、製法や酒精強化の有無で味わいが大きく変わります。基本と選び方をわかりやすく解説します。
レイトハーベストとは
レイトハーベストとは、通常よりも遅い時期に収穫することで糖度を高めたぶどうを用いるワインの総称です。遅摘みにより果実が完熟し、糖分と濃縮した果実味、しばしば干しぶどうのニュアンスが得られます。生育条件や乾燥(パッシートやボタリティスによる影響)によって風味は多様で、軽やかな甘口から極甘口のデザートワインまで幅広く存在します。専門用語として「デザートワイン」は甘口ワインの総称で、文脈により使い分けます。
甘さの仕組みと製法の違い
| 添加タイミング | 結果 | 代表的な例 |
|---|---|---|
| 発酵中にグレープスピリッツを添加 | 発酵が止まり糖分が残るため甘口になる | ポート(ルビー、トウニー) |
| 発酵後にグレープスピリッツを添加 | 発酵が終わっているためドライ寄りの味わいになる | 一部の酒精強化白ワイン |
| 加熱乾燥や貴腐化で糖分を濃縮 | 元から糖度が高く、ベースワインとして甘さが強い | レイトハーベスト、ペドロ・ヒメネス |
酒精強化ワインとは、発酵中または発酵後にブランデーなどのグレープスピリッツを添加してアルコール度数を高めたワインを指します。添加のタイミングにより残糖量や味わいが異なります。発酵中に添加すると糖分が残り甘口になりやすく、発酵後に添加するとよりドライな傾向になります。レイトハーベストは必ずしも酒精強化されるわけではなく、自然に高糖度のまま発酵を止めて造る場合もあります。
シェリーとポートの違いとレイトハーベストとの関係
シェリーの特有ルール
- 産地はスペイン・アンダルシア州ヘレス地区(D.O.認定)
- 主要品種はパロミノ、ペドロ・ヒメネス
- ソレラシステムで複数年を段階的にブレンドして熟成
- フロールと呼ばれる産膜酵母による生物学的熟成がある
- タイプはフィノ、マンサニージャ、アモンティリャード、オロロソ、ペドロ・ヒメネスなど
シェリーの中でもペドロ・ヒメネス(PX)は遅摘みや乾燥で糖を凝縮させた極甘口の代表です。シェリーは酒精強化ワインの一形態であり、添加や熟成の方法で辛口から極甘口まで幅広く存在します。ソレラシステムにより年代を超えた複雑さと安定感が生まれます。
ポートの特有ルール
- 産地はポルトガル・ドウロ渓谷
- 発酵途中でグレープスピリッツを添加して残糖を残す製法
- タイプはルビー、トウニー、ヴィンテージ、LBVなど
ポートは発酵途中でスピリッツを添加するため、元来甘口の酒精強化ワインです。レイトハーベスト由来の濃縮した果実味を用いることで、さらにリッチな甘さや香りが得られることがあります。シェリーやポートは地域や伝統に根ざした固有のルールがあり、ラベル表記や分類にも特徴があります。
テイスティングのポイントとグラス・温度
レイトハーベストや酒精強化のデザートワインは、香りが豊かで粘性があり、余韻が長く感じられます。テイスティングでは果実の凝縮感、蜜や干しぶどうのニュアンス、酸味と甘さのバランスを確認します。グラスは「チューリップ型グラス」が汎用性が高く、香りを集めやすいのでおすすめです。サービング温度はタイプにより変わりますが、軽めの甘口はやや冷やして、極甘や酒精強化はやや高めの温度で香りを開かせるのが一般的です。
ペアリングの考え方
デザートワインと料理の組み合わせは「味覚の同調・補完」を軸に考えるとわかりやすいです。同調の例は、甘さやフルーツ感が同じ方向性のデザートと合わせる場合。補完の例は、酸や塩気がある料理が甘さを引き立てる場合です。チーズやナッツ、ドライフルーツ、バニラやキャラメルを使ったデザートとは相性が良く、合わせ方で互いの魅力が引き出されます。
- 同調:ペドロ・ヒメネスとバニラアイスは甘さと香りが同調する
- 補完:やや酸味のあるブルーチーズとオロロソは味わいが補完し合う
- 橋渡し:フルーツソースのデザートとフルーティなレイトハーベストは橋渡しの役割をする
選び方と楽しみ方
初心者はまず糖度が強すぎない軽めのレイトハーベストから始めると取り組みやすいです。購入時は甘さの程度、アルコールの傾向(酒精強化の有無)、香りのタイプをラベルや説明で確認してください。小容量のボトルやデギュスタシオンで試すのも良い方法です。飲む際は温度とグラスに気を配り、少量ずつ味わいの変化を楽しんでください。
豆知識:遅摘みは必ずしも貴腐(ボタリティス)を伴いません。乾燥による糖の濃縮や完熟だけでレイトハーベストと呼ぶことがあります。
まとめ
- レイトハーベストは遅摘みで糖度の高いぶどうを使うデザートワインの総称で、乾式と酒精強化で味わいが変わる
- 酒精強化ワインは添加のタイミングで甘さが左右され、シェリーやポートには各地域特有のルールがある
- ペアリングは味覚の同調・補完の考え方で選ぶと、料理とワイン双方の魅力が引き立つ
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