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レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラ|甘美な赤

レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラ|甘美な赤

レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラはヴェネトの干しぶどうから生まれる甘美な赤ワイン。製法や味わい、適したグラスとペアリングを初心者向けに解説します。

レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラとは

レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラはイタリア・ヴェネト州ヴァルポリチェッラ地区の伝統的な甘口赤ワインです。収穫後のブドウを陰干しして水分を蒸発させ、糖分と風味を凝縮させる「アッパッシメント(干しぶどう)」技法により造られます。名前の「レチョート」は古い方言で“締め括り”を意味し、甘みと濃縮感が特徴です。

製法のポイント

主要な工程は以下の通りです。1) 収穫した黒ブドウ(主にコルヴィーナ、ロンディネッラ、モリナーラなど)を専用のラックや箱に並べ、乾燥室や風通しの良い場所で数週間から数か月乾燥させます。2) 水分が抜け果実が凝縮したら圧搾し、ゆっくりと発酵させます。3) 発酵はゆっくり進むため、自然な残糖が残りやすく甘口のスタイルになります。伝統的な方法では酒精強化は行わず、干しぶどう由来の糖分が甘みを担います。

主要品種とスタイル

  • 主要品種: コルヴィーナ、ロンディネッラ、モリナーラなどの黒ブドウ品種が中心。
  • 味わいの傾向: 濃縮した赤〜黒果実、干しプラムやレーズン、トフィーやスパイスのニュアンスが感じられる。
  • ボディ: ミディアムボディからフルボディ寄り。糖分による甘みと酸のバランスが魅力。

味わいとサービス

見た目は深いルビー〜ガーネット。香りは濃縮果実、ドライフルーツ、カカオや甘いスパイスを伴います。口当たりは甘みが豊かで、酸があるため全体のバランスが良く感じられます。酸味は甘みを引き締め、タンニンは渋みが和らぐ方向で味を引き締めます。

温度・グラス・保存

  • サーブ温度: 12〜16℃が目安。やや冷やすことで甘みがしつこくならず飲みやすくなる。
  • グラス: チューリップ型グラスを用いると香りが立ちやすい。
  • 開封後の保存: 甘口だが酸と糖があるため、冷蔵庫で2〜3日〜1週間を目安に楽しむのが良い。

ペアリングの考え方

レチョートはデザートワインとしてだけでなく、塩味や熟成香のある食材と合わせると魅力が引き立ちます。ペアリングは「味覚の同調・補完」の観点で考えると分かりやすいです。例えば甘みと同調するデザート、あるいは濃厚な風味を補完するブルーチーズなどが定番です。

  • 同調: ドライフルーツのタルトやチョコレートケーキは果実感と甘みが同調する。
  • 補完: ブルーチーズや熟成チーズは塩味と旨みがワインの甘みを補完し、味わいの厚みが増す。
  • 橋渡し: ナッツやキャラメリゼしたナッツ菓子は果実味とテクスチャーで橋渡しになる。

酒精強化ワインとの比較

酒精強化ワイン(フォーティファイドワイン)は、発酵中または発酵後にブランデーなどのグレープスピリッツを添加してアルコール度数を高めたワインです。添加のタイミングにより残糖量と味わいが変わります。発酵中に添加すると糖分が残り甘口に、発酵後に添加するとドライな味わいになります。レチョートは原則として酒精強化を行わない点でポートやシェリーと異なりますが、甘口という点でデザートワインとしての役割は共通します。

特徴レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラポートシェリー
主な製法干しぶどう(アッパッシメント)から造る非酒精強化の甘口赤発酵途中でグレープスピリッツを添加して甘さを残す酒精強化ワイン発酵後にスピリッツを添加することが一般的で、フロールやソレラで熟成する酒精強化ワイン
主な産地イタリア・ヴェネト州 ヴァルポリチェッラ地区ポルトガル・ドウロ渓谷スペイン・アンダルシア州ヘレス地区(D.O.認定)
味わいの特徴濃縮果実と干し果実の甘み、酸とのバランスが鍵濃厚で甘口(タイプにより異なる)辛口から極甘口まで幅広い(フロールや酸化熟成で特徴が分かれる)

シェリーとポートの特有ルール

参考として、酒精強化ワインを代表するシェリーとポートの特有ルールを整理します。シェリーはスペイン・ヘレス地区のD.O.に基づき、主に白ブドウ品種パロミノやペドロ・ヒメネスを用い、フロールという産膜酵母とソレラ・システムによる熟成が特徴です。ポートはポルトガル・ドウロ渓谷で造られ、発酵途中にグレープスピリッツを添加して残糖を残す製法が基本で、ルビーやトウニーなどのタイプがあります。

  • シェリー特有: 産地はスペイン・アンダルシア州ヘレス地区(D.O.認定)。主要品種はパロミノ、ペドロ・ヒメネス。ソレラシステムとフロールが重要。タイプにはフィノ、マンサニージャ、アモンティリャード、オロロソ、ペドロ・ヒメネスなどがある。
  • ポート特有: 産地はポルトガル・ドウロ渓谷。製法として発酵途中でグレープスピリッツを添加し、残糖を残す。タイプにはルビー、トウニー、ヴィンテージ、LBVなどがある。

初心者へのアドバイス

まずは少量から試すのが近道です。レチョートは甘みが豊かなので、少量をデザートとともにゆっくり味わうとその構造がわかりやすいでしょう。チューリップ型グラスで香りを確認し、温度を調整して香りと甘みのバランスを探ってみてください。また、酒精強化ワインとの違いを意識すると、製法が味に与える影響が理解しやすくなります。

まとめ

  • レチョートは干しぶどう(アッパッシメント)由来の自然な甘みが魅力で、果実の凝縮感と酸のバランスが美点。
  • 酒精強化ワイン(ポートやシェリー)はスピリッツ添加でアルコールや甘さの調整を行うため、製法に基づいた味わいの違いを楽しめる。
  • ペアリングは味覚の同調・補完で考えるとわかりやすく、デザートや熟成チーズ、ナッツ菓子などと特に相性が良い。

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