ピュピトルとジロパレット|リミュアージュの道具
ピュピトルとジロパレットはスパークリングワインのリミュアージュで使われる道具です。手作業と機械化の違い、現場での使い分けを初心者向けに解説します。
ピュピトルとジロパレットとは
まずリミュアージュ(rémuage)を説明します。リミュアージュとは、瓶内二次発酵で発生した澱を瓶の肩や首に集め、後のデゴルジュマン(澱抜き)を容易にする工程です。ピュピトルはこの工程を手作業で行うための木製棚です。ジロパレットはリミュアージュを自動化した機械で、複数本の瓶を同時に回転・傾けて澱を効率よく移動させます。
リミュアージュの目的と基本的な流れ
- 瓶を安定して保持する
- 瓶を少しずつ回転させる
- 傾斜を徐々に立てて澱を瓶首に集める
- 澱が首に集まったらデゴルジュマンで澱を除去する
ピュピトルの構造と使い方
ピュピトルは斜めに並んだV字形の切れ込みを持つ木の棚です。各切れ込みに瓶を差し込み、指で少しずつ回転(通常は1/8回転程度)させながら傾斜を立てていきます。作業は日々繰り返し行われ、職人の手の感覚や経験が品質に反映されます。手作業の利点は微妙な調整ができる点です。例えば瓶ごとの澱の付き方や気泡の具合を見ながら操作を変えられます。ただし作業に時間と人手を要します。
ジロパレットの特徴と利点
ジロパレットは複数本の瓶を専用のフレームに固定し、プログラムされた回転と振動で短期間にリミュアージュを行います。均一性が高く、労力と時間を大幅に削減できます。そのため大量生産や一貫した品質管理を重視するワイナリーで採用されます。一方で機械が行うと経験に基づく微妙な調整が難しく、伝統的な慣習・知識・継承といった人的要素の表現が変わることがあります。
機械化とテロワール・人的要素への影響
リミュアージュ自体は澱を集める物理的作業ですが、どの方法を選ぶかはワイナリーの考え方に関わります。テロワール(土地・気候・人的要素の総体)を重視する生産者は、人的要素としての慣習・知識・継承を優先し、ピュピトルを使うことがあります。対して規模や経済性を優先する場合はジロパレットを導入します。どちらが優れているかではなく、スタイルや目指す品質、労働資源とのバランスで選ばれます。
現場での使い分けと選び方
| ピュピトル | ジロパレット |
|---|---|
| 手作業での柔軟な調整が可能 | 短時間で均一に処理できる |
| 人的要素(慣習・知識・継承)を反映しやすい | 大規模生産やコスト管理に向く |
| 作業に時間と熟練を要する | 初期投資と保守が必要だが効率的 |
| 小ロットや高付加価値のスパークリングワインに適性 | 量産向けのスパークリングワインに適性 |
実務上のポイントと注意点
- 保存環境の温度と湿度を安定させると作業が安定する
- ピュピトルは作業者の技術が品質に直結するため記録を残す
- ジロパレット導入時はプログラム設定を小ロットで確認する
- リミュアージュ後のデゴルジュマンとドサージュの方針を事前に決める
まとめ
- ピュピトルは手仕事による細やかな調整が可能で、人的要素の表現につながる
- ジロパレットは効率と均一性を提供し、大規模生産に適している
- 選択はワイナリーのスタイル、目標とする品質、労働資源のバランスで決まる
「シャンパーニュ」というアペラシオンは、定義された原産地において、その土地特有のテロワールと、定められた栽培・醸造規定に基づいて造られたスパークリングワインにのみ使用が認められている。