プレディカーツヴァインとは|ドイツの等級制度
プレディカーツヴァインはドイツの収穫時の糖度に基づく等級制度です。等級ごとの特徴と選び方、関連用語を初心者向けに解説します。
プレディカーツヴァインとは
プレディカーツヴァイン(Predikatswein)は、ドイツ語圏で伝統的に用いられる等級制度の一つです。特徴は「収穫時のぶどうの熟度」によって等級を区分する点にあります。ここでいう熟度は果汁中の糖度を指し、その高まりは遅摘みや貴腐化(ボトリティス)などの要因で生まれます。重要な点は、プレディカーツヴァインは収穫時の状態を評価する制度であり、醸造後に糖を添加して甘さを作る行為は認められていないことです。
等級の一覧と特徴
- Kabinett:完全に熟したぶどうから造られる等級。軽やかなスタイルから上品な甘口まで幅広く見られる。
- Spätlese:遅摘みのぶどうによる等級。果実味やボディが増し、香りの厚みが出やすい。
- Auslese:選別して収穫したより成熟した房や粒を用いる。甘口スタイルが多いが辛口も存在する。
- Beerenauslese:貴腐化や過熟した粒を選別して造るデザートワイン的な等級で、濃縮した甘味と酸が特徴。
- Trockenbeerenauslese:さらに乾燥した=干しぶどう状の粒を個別に選ぶ最上級の甘口で、非常に凝縮した濃厚さが出る。
- Eiswein:凍結したぶどうを低温で圧搾して造る。酸と甘味が同居する凝縮感のあるスタイル。
| 等級 | 読み方 | 一般的なスタイル | ぶどうの状態(収穫時) |
|---|---|---|---|
| Kabinett | カビネット | 軽快〜ややリッチ(辛口〜やや甘口) | 完熟した正常な房 |
| Spätlese | シュペートレーゼ | 果実味とボディが豊か(辛口〜甘口) | 遅摘みで熟した房 |
| Auslese | アウスレーゼ | やや濃厚で甘口が多い | 選別した熟した房や粒 |
| Beerenauslese | ベーレンアウスレーゼ | デザートワイン的で濃厚な甘味 | 貴腐や過熟の粒を選別 |
| Trockenbeerenauslese | トロッケンベーレンアウスレーゼ | 極めて凝縮した甘口 | 干しぶどう状に乾燥した粒を選別 |
| Eiswein | アイスヴァイン | 酸と甘味が鮮明に残る凝縮スタイル | 凍結したぶどうをそのまま搾る |
造り方と規制上のポイント
プレディカーツヴァインにおける等級は、法的な原産地呼称制度であるアペラシオン的な枠組みや生産規定と結びついて運用されます。ここでのアペラシオンは「法的に保護・規定する原産地呼称制度」を指します。プレディカーツヴァインでは、収穫時点の果汁中の糖度を基準として等級が決まり、その等級ごとに許される処理や表示が定められています。特に重要なのは、収穫後に糖を添加して甘さを作る行為はプレディカーツヴァインでは認められていない点です。
品質にはテロワールが反映します。テロワールは「土地・気候・人的要素の総体」であり、ここでいう人的要素には「慣習・知識・継承」を含みます。とくに遅摘みや貴腐化を利用する等級では、ミクロクリマ(ミクロクリマ: "畑レベルの"局所的な気候条件)が大きく影響します。気温や降雨のタイミング、畑ごとの排水性や斜面の向きといった条件が、求める熟度の達成に関わります。
プレディカーツヴァインを選ぶときのポイント
- 等級は収穫時の熟度を示す指標であり、必ずしもボトルの甘さだけを示すものではありません。生産者が辛口に仕上げる場合もあります。
- ラベル表記や生産地、ぶどう品種(例: リースリング)の記載を確認すると、味わいの傾向がつかみやすくなります。
- デザート的な濃縮感を求めるならBeerenausleseやTrockenbeerenauslese、酸と甘味のバランスを楽しみたいならEisweinを検討するとよいでしょう(補完の観点)。
- 食事との合わせ方では、甘口は甘さが料理のソースやデザートを補完する用途に向きます。辛口寄りの等級は魚介や軽い前菜と同調しやすい傾向があります。
用語解説
- テロワール: 土地・気候・人的要素の総体
- 人的要素: 慣習・知識・継承を含む
- クリマ: 自然条件と歴史的利用が結びついた最小単位のテロワール区画(ブルゴーニュでの用語)
- ミクロクリマ: "畑レベルの"局所的な気候条件
- アペラシオン: 法的に保護・規定する原産地呼称制度
- リュー・ディ: 品質区分を伴わない歴史的な畑名
まとめ
- プレディカーツヴァインは収穫時のぶどうの熟度(糖度)に基づく等級制度で、等級によってぶどうの状態や製法の違いが分かる。
- 等級は甘さの目安になり得るが、ボトルの仕上がりは生産者の醸造方針次第で、必ずしも甘口とは限らない。
- 品質にはテロワール(土地・気候・人的要素)が深く関わる。ミクロクリマや伝統的な慣習が、等級ごとの個性を作り出す。
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