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マロラクティック発酵の見分け方|MLFワインの特徴

マロラクティック発酵の見分け方|MLFワインの特徴

マロラクティック発酵(MLF)の基本と、嗅覚・味覚・分析での見分け方を初心者向けに解説。醸造上の注意点と実践的なテイスティング手順も紹介します。

マロラクティック発酵とは

マロラクティック発酵(MLF)は、乳酸菌の働きによりワイン中のリンゴ酸が乳酸に変換される過程です。これにより酸味が穏やかになり、まろやかな口当たりとバターやクリームのようなニュアンスが生まれます。白ワインや黒ブドウ品種を使ったワインの双方で起こり得ますが、醸造の目的に応じて意図的に行う場合と防ぐ場合があります。初出時の専門用語は簡潔に説明し、以降はMLFと略記します。

マロラクティック発酵の仕組みと影響

化学的な変化

MLFでは主にリンゴ酸が乳酸へ変換されます。リンゴ酸はシャープな酸味を与え、乳酸はより柔らかい酸をもたらすため、結果として酸味が穏やかになります。副生成物としてジアセチルなどの化合物が生じることがあり、これがバター様の香りをもたらす要因になることがあります。酸度やpHの変化、特定の揮発性化合物の発現が、MLFの進行に伴って観察されます。

ワインに与える感覚的影響

感覚的には酸味の輪郭が丸くなり、口当たりがまろやかになります。アロマでは生の果実感が残る一方で、発酵的なニュアンスやバター・クリームのような香りが現れる場合があります。MLFはワインの構成を穏やかに整えるため、樽熟成との相性によって香りの同調や補完が生まれることがあります。

マロラクティック発酵の見分け方

嗅覚と味覚でのサイン

  • 酸味の印象が尖っている→穏やかになる。具体的にはリンゴ酸由来のシャープさが和らぐ。
  • バターやクリーム、ブリオッシュを思わせるニュアンスが出ることがある(ジアセチル由来)。
  • 口当たりがまろやかで厚みを感じやすくなる。特に樽熟成した白ワインで顕著になることがある。
  • 発酵的な香り(乳酸発酵に伴う香り)が希に現れる。

分析的な確認方法

感覚だけで判断するのは便利ですが、確実に見分けるには分析が有効です。一般的な確認手法は以下の通りです。精密な数値を示す場合は出典が必要なため、ここでは検査項目の目的を示します。

  • リンゴ酸量と乳酸量の測定:リンゴ酸が減り乳酸が増えていればMLFが進行したことを示す。
  • pHと総酸の変化確認:pHは上昇しやすく、総酸(酸の総量)はやや低下する傾向がある。
  • 微生物検査:乳酸菌の有無や増殖を確認することで進行の有無を判断できる。
  • 揮発性化合物の分析(必要時):ジアセチルなどの成分が検出されるとバター様の香りの原因である可能性が示される。
項目変化前の特徴変化後の特徴
酸味の印象シャープで輪郭がはっきり穏やかで丸みが出る
pH・酸度pHやや低め、総酸は高めpHが上昇しやすく、総酸はやや低下
香りの傾向果実香や爽やかな香り中心バター・クリーム様のニュアンスが加わる場合がある
口当たり引き締まった口当たりまろやかで厚みを感じやすい
分析指標高いリンゴ酸量、低い乳酸量リンゴ酸減少、乳酸増加
微生物乳酸菌不活性あるいは低活性乳酸菌が活動している

醸造上の注意点と調整

MLFを促進する要因

  • 温度管理:適温を保つことで乳酸菌の活動が促される。
  • 栄養状態:窒素やビタミンなどの栄養が十分にあると発酵が進みやすい。
  • 硫黄化合物の使用を控える:過剰な亜硫酸は乳酸菌を抑制するため、管理が必要。
  • 原料の酸組成:リンゴ酸が多いと変換の余地が大きい。

MLFを抑制する方法

  • 低温管理:低温で保つと乳酸菌の活動が鈍る。
  • 亜硫酸添加:適切な濃度で乳酸菌の増殖を抑える。
  • 衛生管理:容器や器具の清掃で乳酸菌の侵入を防ぐ。
  • フィルター処理:必要に応じて微生物を除去して安定化する。

シャンパーニュ補足:シャンパーニュというアペラシオンは、定義された原産地において、その土地特有のテロワールと、定められた栽培・醸造規定に基づいて造られたスパークリングワインにのみ使用が認められています。シャンパーニュの醸造ではMLFの扱いがスタイルに影響するため、規定や生産者の意図に合わせた管理が行われます。

実践的なテイスティング手順

  • まず温度を整える:白ワインなら8〜12℃程度、黒ブドウ品種由来のワインはサービング温度に合わせる。温度で香りの表現は変わるため、適温で評価する。
  • グラスを傾けて色と粘性を観察する:MLF自体は色を大きく変えないが、熟成や樽の影響と合わせて厚みを確認する。
  • 香りを取る:果実香の下にバターやクリームを感じるか、発酵的なニュアンスがあるかを探す。
  • 一口含む:酸の輪郭が尖っているか、それとも丸くまろやかかを確かめる。
  • 必要なら分析ラボに依頼する:感覚で判断が難しい場合はリンゴ酸・乳酸の測定や微生物検査を行う。

まとめ

  • マロラクティック発酵(MLF)はリンゴ酸が乳酸に変換され、酸味が穏やかになりまろやかな口当たりやバター・クリーム様のニュアンスが生まれる。
  • 見分け方は感覚(香り・味わいの変化)と分析(リンゴ酸・乳酸、pHや微生物検査)を組み合わせること。
  • 醸造ではMLFを意図的に促進するか抑制するかを選び、温度・栄養・亜硫酸管理や衛生管理で制御する。

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