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コールドソークとは|低温浸漬で色素を抽出する技法

コールドソークとは|低温浸漬で色素を抽出する技法

コールドソークの基本とメリット、手順、適する黒ブドウ品種やワインスタイル、醸造上の注意点までを初心者にも分かりやすく解説する入門記事です。

コールドソークとは

コールドソークとは、破砕したブドウ(マスト)を発酵前に低温で一定時間浸漬する工程を指します。英語ではcold soakやcold macerationと呼ばれます。目的は、アルコール発生前の低温環境で果皮由来の色素(アントシアニン)やアロマ成分、可溶性のフェノール類を穏やかに抽出することです。発酵が始まるとアルコールの溶媒効果で抽出が進むため、事前の低温浸漬は抽出プロファイルをコントロールする手段になります。

目的と期待できる効果

  • 色素の抽出:発色を安定させ、明瞭な色合いを得やすくする。
  • 香りの強調:揮発性のアロマ前駆体や香り成分が引き出されやすくなる。
  • タンニンの調整:過度に粗いタンニンを避けつつ、構成要素としてのタンニンを確保できる。
  • 発酵初期の制御:酵母活動が始まる前に抽出特性を定め、醸造意図に合わせやすくする。

実際の手順とポイント

一般的な流れは、収穫→破砕(全房破砕するか否かは品種とスタイル次第)→低温での浸漬→発酵開始、です。浸漬中は温度を低めに保ち、酸化や微生物の管理に注意します。浸漬時間は数時間から数日程度まで幅があります。短めに設定すれば軽やかな抽出、長めにすれば色や構成を強める傾向があります。

  • 温度管理:低温を維持して不要な発酵を抑える。
  • 酸化対策:空気との接触を最小限にし、SO2管理や窒素ガスの利用を検討する。
  • 攪拌の頻度:小規模なパンチダウンやポンピングを行い均一に抽出する。
  • 衛生管理:雑菌繁殖を防ぐため清潔な設備と適切な殺菌処理を行う。

適する黒ブドウ品種とワインスタイル

コールドソークは黒ブドウ品種に使われることが多い手法です。皮の薄い品種(例:ピノ・ノワール)は色と香りを豊かにするために有効です。一方、皮の厚い品種(例:カベルネ・ソーヴィニヨン)では短めにして粗いタンニンの過度抽出を避けるなど、品種特性に合わせて調整します。ワインの目指すスタイル(ライトボディ〜フルボディ)に応じて時間や管理方法を変えるのが基本です。

醸造上の注意点とリスク

コールドソークは利点が多い一方で注意点もあります。低温での長時間浸漬は酸化リスクや微生物汚染の可能性を高めます。また過度な抽出は渋みの印象を強める場合があるため、目標とする味わいとのバランスを常に意識する必要があります。加えてタンクのサイズや醸造設備、人的要素(慣習・知識・継承)によって運用は変わります。

メリットデメリット
色と香りを穏やかに引き出せる酸化や雑菌リスクが増える可能性がある
タンニンの性格を整えやすい管理が不十分だと望ましくない抽出が起きる
発酵開始前に抽出プロファイルを設計できる設備と人的管理が必要になる

実践例と調整の考え方

実践では、まず小規模バッチやパイロットタンクで浸漬時間や攪拌頻度を試すのが安全です。香りの出方や色の安定性をチェックし、次の年や別区画(クリマ/ミクロクリマ)でも同様の試験を行えば、地元の条件に合わせた最適解が見えてきます。醸造記録を残し、人的要素としての知識と慣習を蓄積することも重要です。

シャンパーニュ補足:シャンパーニュというアペラシオンは、定義された原産地において、その土地特有のテロワールと定められた栽培・醸造規定に基づいて造られたスパークリングワインにのみ使用が認められています。

まとめ

  • コールドソークは発酵前の低温浸漬で色素・香り成分を穏やかに抽出し、ワインの表情を整える技法である。
  • 品種や目指すスタイルに合わせて浸漬時間や管理を変える必要がある。特に黒ブドウ品種では効果的だが過度抽出や酸化リスクに注意する。
  • 小規模試験と記録の蓄積で最適な運用を見つける。人的要素(慣習・知識・継承)を活かした管理が重要である。

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