その他用語5分で読める

デブルバージュとは|果汁清澄化の重要工程

デブルバージュとは|果汁清澄化の重要工程

デブルバージュ(果汁清澄化)の目的・工程・主な方法を初心者向けに解説。利点と注意点、シャンパーニュの補足も含め実務で役立つ知識をまとめます。

デブルバージュとは

デブルバージュ(フランス語: débourbage)は、搾汁直後の果汁を静置・処理して粗い固形分を沈降させ、上澄みを取り出す工程です。日本語では「果汁清澄化」と表現することが多く、主に白ワインや一部のロゼワインで行われます。発酵前に実施することで、発酵中のトラブルを減らし、仕上がりの香味を整えます。

目的と効果

  • 発酵管理の安定化:固形分が少ないほど酵母の働きが安定しやすい。
  • 香味の純度向上:余分な澱由来の雑味や苦味を抑え、果実香をクリアにする。
  • 澱管理の簡便化:沈降させた澱を別に処理でき、タンク管理がしやすくなる。
  • ろ過や清澄処理の負担軽減:上澄みを扱うことで後工程の効率が上がる。

工程の流れ

デブルバージュは大きく分けて「予備処理」「沈降」「上澄みの取り出し(ラック)」の順で進みます。各工程はワイナリーの規模や目指すワインのスタイルにより詳細が変わりますが、基本の考え方は共通です。

予備処理

搾汁直後に果汁を清潔なタンクへ移し、粗い果皮片や果梗片を取り除きます。必要に応じてペクチナーゼなどの酵素を添加して沈降を促すことがあります。温度管理も重要で、低温で静置することで微粒子の沈降を促進します。

沈降と分離

静置して固形分を沈める方法のほか、遠心分離機やフロテーション(気泡で浮かせて除去)を使う手法があります。機械化するほど短時間で処理できますが、過度の操作は香り成分や微量成分を失う可能性があるためバランスが求められます。

上澄みの取り出しと次工程への引継ぎ

沈降後、上澄み(きれいになった果汁)を別タンクへ静かに移し替えます。これにより発酵タンクに投入する固形分を最小限に抑えられます。移送時の酸化防止や衛生管理が重要です。移送後は発酵を開始します。

主な方法と設備

方法特徴利点留意点
静置沈降自然に固形分を沈める伝統的手法設備が簡単でコストが低い時間がかかる。気温管理が必要
遠心分離(セントリフュージ)機械で短時間に固形分を分離迅速で処理量が多い過度に使用すると香味を損なう場合がある
フロテーション微細気泡で粒子を浮上させ除去細かい粒子も除去可能設備と操作のノウハウが必要

どのワインに向くか

デブルバージュは特に白ワインや繊細な香りを重視するロゼワインで有効です。黒ブドウ品種を使った赤ワインでは、色やタンニンを抽出するために果皮接触(マセラシオン)を行うことが多く、一般的にはデブルバージュは行いません。ただし、軽めの赤や一部の果皮短期接触スタイルでは応用される場合があります。

注意点とリスク管理

  • 酸化リスク:移送や空気との接触で酸化が進むため、窒素吹きや低酸素搬送を検討する。
  • 香りの損失:過度な処理や高剪断により揮発性成分が失われることがある。
  • 微生物管理:清潔な設備と適切な温度管理で望ましくない微生物の増殖を防ぐ。
  • 処理時間の判断:短すぎると不十分、長すぎると品質低下のリスクがあるため経験に基づく判断が必要。

実務上のポイント

  • 清澄度のモニタリング:濁度や目視で上澄みの状態を確認する。
  • 温度管理:低温で安定させると沈降が進みやすいが、冷却に伴うコストも考慮する。
  • 酵素の活用:ペクチナーゼなどを必要最小限で使うと沈降がスムーズになる。
  • 移送時の保護:空気曝露を避けるためポンプや配管の管理を徹底する。

シャンパーニュというアペラシオンは、定義された原産地において、その土地特有のテロワールと、定められた栽培・醸造規定に基づいて造られたスパークリングワインにのみ使用が認められています。

関連する技術用語

  • シュール・リー:澱と接触させた熟成。デブルバージュとは対照的に澱と接触させる手法。
  • マロラクティック発酵:乳酸菌による酸の変換。デブルバージュ後に管理して行う場合が多い。
  • ろ過・清澄:デブルバージュで除去しきれない微粒子を取り除く後工程。

まとめ

  • デブルバージュは搾汁後の果汁清澄化で、発酵管理を安定させ香味の純度を高める工程です。
  • 静置、遠心、フロテーションなど手法があり、それぞれ利点と留意点があるため目標と設備に合わせて選ぶ必要があります。
  • 酸化や香り損失のリスク管理が重要で、温度管理・衛生管理・移送方法に注意して実施します。

関連記事