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シャトー・ディケムとは|ソーテルヌの頂点

シャトー・ディケムとは|ソーテルヌの頂点

シャトー・ディケムはソーテルヌを代表する貴腐ワイン。貴腐菌による凝縮と丁寧な選別収穫で生まれる濃密な甘みと酸のバランスが特徴です。

シャトー・ディケムとは

シャトー・ディケムはボルドー地方ソーテルヌの著名なワイナリーで、甘口の貴腐ワインを生産します。1855年のボルドー格付けでは特別区分のPremier Cru Supérieurに位置づけられており、長期熟成に耐える凝縮した甘みと高い酸を持つことが評価の根拠です(出典: 1855年ボルドー格付け)。

生産の特徴

主要なブドウ品種と畑管理

シャトー・ディケムでは主にセミヨンを主体に、ソーヴィニヨン・ブランやミュスカデルが用いられます。湿度の高い気候と早朝の霧が貴腐菌の発生を促し、畑ごとに丁寧な選別が行われます。

貴腐(ボトリティス)と収穫

貴腐菌(ボトリティス・シネレア)は果実の水分を蒸発させ、糖と風味を凝縮させます。そのため収穫は何度も畑を回って状態の良い房だけを摘む“選別収穫”が中心です。結果として収量は少なくなりますが、凝縮した香りと豊かな甘みが得られます。

醸造と熟成のポイント

発酵は濃縮した果汁でゆっくり進み、必要に応じて発酵を止めることで残糖を残します。オーク樽での育成や澱との接触により複雑さが増し、長期熟成によりハチミツやトロピカルフルーツ、ナッツのニュアンスが深まります。

酒精強化ワインとの違い

酒精強化ワイン(フォーティファイドワイン)とは、発酵中または発酵後にブランデーなどのグレープスピリッツを添加してアルコール度数を高めたワインです。添加のタイミングで残糖量や味わいが変わります。シャトー・ディケムはこの分類には入らず、自然に凝縮した糖分と酸で甘さを持たせる貴腐ワインです。

項目ソーテルヌ(シャトー・ディケム)シェリーポート
製法の特徴貴腐菌で果実を凝縮、選別収穫して醸造発酵後または熟成中にグレープスピリッツを加えることがある。フロールやソレラを用いる発酵途中でグレープスピリッツを添加し、残糖を残す
代表的な味わい豊かな甘みと酸のバランス、ハチミツやアプリコット辛口から極甘口まで多様。フロール由来の香りや酸化風味甘口で濃厚。ルビーやトウニーなどのタイプがある
産地フランス・ソーテルヌ(ボルドー)スペイン・ヘレス(D.O.認定)ポルトガル・ドウロ渓谷

テイスティングとサービス

外観は深い金色から琥珀色。香りはアプリコットや桃、ハチミツ、トロピカルフルーツ、ローストナッツなど多層的です。甘さは濃密ですが、良好な酸があるため甘みに埋もれずに引き締まった印象を残します。

適温はおおむね8〜12℃。グラスはチューリップ型グラスを用いると香りがまとまり、甘味と酸のバランスを楽しみやすくなります。

ペアリング

シャトー・ディケムはデザートワインとしてだけでなく、料理と合わせても多彩に楽しめます。ペアリングは味覚の同調・補完という視点で考えるとわかりやすいです。

  • フォアグラ:甘みと濃厚さが同調して、口中で豊かな広がりを生む
  • ブルーチーズ:塩気と強い風味を甘みが補完し、対比が魅力になる
  • バニラアイスや洋梨のデザート:果実の同調とソースの橋渡しになる
  • ナッツやドライフルーツを使った前菜:風味が同調し、余韻が長くなる

購入と保存のヒント

シャトー・ディケムはヴィンテージごとに特徴が変わります。ヴィンテージの気候によって貴腐の出方やバランスが異なるため、複数の年式を試すと好みが見えてきます。

保存は冷暗所で水平に保管するとよいです。開封後は冷蔵保存で管理すると品質を保ちやすく、数週間は特徴を楽しめることが多いです。長期熟成に向くワインですが、各ヴィンテージのポテンシャルを確認して選んでください。

まとめ

  • シャトー・ディケムはソーテルヌを代表する貴腐ワインで、貴腐菌による凝縮した甘みと優れた酸のバランスが魅力。
  • 酒精強化ワインとは製法が異なり、ブランデー添加による補強は行わない。貴腐と選別収穫が品質の鍵になる。
  • サービスはチューリップ型グラスで8〜12℃が目安。フォアグラやブルーチーズとは味覚の同調・補完がよく合う。

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