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シャプタリザシオン|補糖の歴史と現在の規制

シャプタリザシオン|補糖の歴史と現在の規制
#用語解説#歴史

シャプタリザシオン(補糖)の起源と目的、具体的な工程、各国の規制や現代的な議論を初心者向けに整理して解説します。

シャプタリザシオンとは

シャプタリザシオンは補糖とも呼ばれます。発酵前のマストにショ糖などの糖分を加え、酵母がそれをアルコールに変えることで最終的なアルコール度数を引き上げます。用いる糖は一般にスクロース(ビートやサトウキビ由来)などの食品用糖類で、製法上は添加するタイミングや量、加え方が重要です。

工程の基本

一般的な手順は次の通りです。まず収穫時の糖度を測定し、目標とするアルコール度に応じて補糖量を算出します。糖はマストに均一に溶かして加え、発酵を開始させます。添加は発酵開始前が基本ですが、規制や目的により扱いが異なります。適正な管理がされないと味わいやバランスに影響するため、経験と慎重さが求められます。

補糖が行われる理由

  • 不足する糖度を補い、適正なアルコール度を確保してワインの安定を図る
  • 発酵が停滞するリスクを低減し、品質のばらつきを小さくする
  • 収量や収穫時期の制約のなかで、期待する味わいやボディを得るため

歴史的背景と呼称について

補糖という手法は冷涼なワイン生産地で長く用いられてきました。名称はおそらくフランス語の人物名に由来するとされ、近代に入って工業的に整理されていった経緯があります。歴史的には気候や貯蔵・流通上の要請、安定した飲用アルコール度の確保が背景にあります。

現在の規制と地域差

補糖の扱いは国やアペラシオンごとに異なります。多くのアペラシオン制度では、気候条件や品質区分を考慮して使用の可否や条件を定めています。冷涼地域や特定のヴィンテージのみに限って許可される場合もあれば、伝統的にほとんど行われない地域もあります。EUや各国の法規が枠組みを設け、各ワイン委員会や認証制度が細かいルールを定めています。

地域規制の傾向備考
フランスアペラシオンごとに扱いが異なる冷涼な地域や厳しいヴィンテージで制限付きで許可される傾向がある
ドイツ糖分分類制度と関連して扱いが分かれるカテゴリーや地場の規定により取り扱いが異なる
スペイン・イタリア地域差が大きい一般に成熟度が高ければ補糖は不要で、地域慣習が影響する
新世界(アメリカ、オーストラリア等)実務上は稀であることが多い日射量が多い地域では原則不要だが、例外は存在する

アペラシオンと補糖の関係

アペラシオン(原産地呼称)は、テロワールを法的に保護・規定する制度です。アペラシオンの規定は栽培や醸造の方法を細かく定めることがあり、補糖が品質基準やカテゴリー判定に影響する場合は使用を制限します。つまり、補糖の可否は個別のアペラシオン規定を確認することが重要です。

「シャンパーニュ」というアペラシオンは、定義された原産地において、その土地特有のテロワールと、定められた栽培・醸造規定に基づいて造られたスパークリングワインにのみ使用が認められている。

補糖をめぐる議論とテロワール

補糖は実務的には有用な手段ですが、テロワール(=土地・気候・人的要素の総体)との関係で議論を呼びます。人的要素には慣習・知識・継承が含まれ、どのような判断で補糖を行うかは生産者の伝統や哲学に左右されます。過度な補糖は畑の特性や収穫の判断を覆す恐れがある一方、厳しい気候での安定生産に寄与する場面もあります。

ワインの表現への影響

補糖によりアルコール度が上がると、ワインのボディ感や抽出の度合い、保存性に影響します。アルコールが高まることで果実味や余韻の印象が変わる場合があり、結果としてテロワールの現れ方にも違いが生じます。生産者はブドウの成熟度や目指すスタイルを考慮して、補糖の有無と程度を決めます。

現場での判断と実務上の留意点

  • 収穫時の糖度と酸のバランスを総合的に評価すること
  • アペラシオン規定や輸出先の法規を事前に確認すること
  • 加糖量やタイミングは少量ずつ、テストを重ねて行うこと

まとめ

  • シャプタリザシオンはマストに糖を加えてアルコールを確保する補糖技術で、冷涼地域で利用されることが多い。
  • 使用の可否や条件はアペラシオンや国の規制で異なるため、規定の確認と慎重な判断が必要である。
  • 補糖はワインの表現に影響を与えるため、テロワールと人的要素(慣習・知識・継承)を踏まえた使い分けが重要である。

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