リパッソとは|コルヴィーナの第3のスタイル
リパッソはヴァルポリチェッラ産の製法で、コルヴィーナを主役に残渣と再発酵させることで生まれる“第3のスタイル”です。特徴と楽しみ方を解説します。
リパッソとは
リパッソはイタリア、ヴェネト州のヴァルポリチェッラ地域で確立された技法です。若いヴァルポリチェッラを、アマローネやレチョで使われた乾燥果実の残渣(ヴァッチェ、vinacce)に再接触させます。残渣に残る糖や香気成分を利用して軽く再発酵させることで、ワインはアルコール分と抽出物が増し、色や旨味、タンニンが強くなります。結果として、ライトなヴァルポリチェッラと濃厚なアマローネの中間に位置する、バランスの良いスタイルが得られます。
製法の流れ
1. ヴァルポリチェッラを通常通り発酵し若いワインを得る。 2. アマローネやパッシートで使用した乾燥ブドウの残渣(果皮・種)を貯蔵する。 3. 若いワインを残渣に加えて一定期間接触させ、再発酵または浸漬を行う。 4. 必要に応じて圧搾・清澄・熟成(ステンレスや樽)へ移す。再発酵の程度や熟成方法によって味わいは大きく変わります。
リパッソで起きる主要な変化(簡潔な解説)
- 果実味の濃縮:残渣由来の糖分と香り成分がワインに移るため、チェリーや黒果実の凝縮感が増します。 - 色合いとタンニンの強化:果皮との接触により色素やタンニンが抽出され、赤色が濃くなり骨格がしっかりします。 - アルコール感とボディの増加:再発酵や抽出によりアルコール度や口中の重量感が上がります。 - 熟成適性の向上:骨格が強まることで短期熟成だけでなく中期の熟成にも耐えうるタイプが生まれます。
コルヴィーナについて
品種分類と特徴
コルヴィーナは主要なヴェネトの黒ブドウ品種の一つです。果皮は比較的薄めで、チェリーや赤系果実の香りとほどよい酸を持ちます。ヴァルポリチェッラやアマローネのブレンドで中心的役割を果たし、リパッソでもしなやかな果実味と香りの骨格を与えます。コルヴィーナ単体や他品種とのセパージュによって仕上がりは変わりますが、リパッソでは黒ブドウ品種としての特長が豊かに生きます。
リパッソの味わいと位置付け
リパッソは果実味とタンニンのバランスが魅力です。軽やかな果実感に濃縮したチェリーやプラム、時にスパイスやドライフルーツのニュアンスが加わります。酸味はしっかりと残り、全体としてはミディアムボディからミディアムフルボディの印象です。ヴァルポリチェッラのフレッシュさとアマローネの深さをつなぐ“橋渡し”的な存在として、日常の食事から少し特別な場面まで幅広く使えます。
代表的なスタイルと生産地
リパッソは主にヴァルポリチェッラ・クラシコ地区で生産されます。生産者や造り手ごとに残渣の扱いや再接触の期間が異なり、その差がスタイルの幅になります。一般的にはステンレスタンクで仕上げたフレッシュ寄りのものから、樽熟成で香ばしさやバニラを与えたリッチ寄りのものまであります。DOCやDOCGの規定に従うタイプもあり、ラベル表記や生産地域を確認すると選びやすくなります。
- フレッシュ寄りリパッソ:ステンレス主体で果実味を活かす
- 樽熟成リパッソ:オーク樽で熟成し香ばしさやスパイス感を付与
- クラシック・リパッソ:ヴァルポリチェッラの骨格を保ちながら深みを追加
ペアリングと楽しみ方
リパッソは料理との相性が良く、次のフレームワークで提案します。 - 同調:ローストした赤肉やグリル野菜の香ばしさとリパッソのトースト香や熟した果実が響き合います。 - 補完:トマトソースや煮込み料理の酸味や旨味をワインの果実味と酸味が補完します。 - 橋渡し:軽めのチーズや熟成の短いサラミ類は軽やかさと骨格をつなぎます。 提供温度は16〜18℃程度、グラスはチューリップ型グラスが適しています。長期熟成向けのリパッソはデキャンタを短時間行うと香りが開きやすくなります。
| 項目 | ヴァルポリチェッラ | リパッソ | アマローネ |
|---|---|---|---|
| 製法 | 通常発酵、乾燥工程なし | 若いワインを果皮残渣に再接触 | 乾燥ブドウ(アパッシメント)を用い濃縮 |
| 味わいの濃さ | ライト〜ミディアム | ミディアム〜ミディアムフル | フルボディで濃厚 |
| アルコール感 | 軽め〜中程度 | 中程度〜やや強め | 高め |
| 熟成適性 | 飲み頃が早い | 中期熟成が向く | 長期熟成向き |
よくある疑問と短い回答
リパッソはアマローネと同じぶどうで造られるのですか? リパッソは同じ地域・同じ品種(コルヴィーナなどの黒ブドウ品種)を使うことが多いですが、製法と乾燥の有無が異なります。 リパッソはどのくらい熟成させると良いですか? スタイルによりますが、フレッシュ寄りは数年以内、樽を用いたタイプは中期熟成でより良さが出ます。
まとめ
- リパッソはヴァルポリチェッラとアマローネの中間に位置する“第3のスタイル”である
- コルヴィーナは主要な黒ブドウ品種としてリパッソの果実味と骨格を支える
- 製法や熟成によりフレッシュ寄り〜リッチ寄りまで幅広い表現があり、料理とのペアリングが楽しめる
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