チリ・アルゼンチンワインの特徴|南米の実力派
チリとアルゼンチンのワインを産地・品種・製法の観点から解説します。新世界ならではの特徴と初心者向けの選び方、料理との相性も紹介します。
チリとアルゼンチンの概況
チリとアルゼンチンはともに南米の長い緯度帯を活かし、多様な気候でワインを生産します。チリは太平洋の影響で冷涼な沿岸地帯と内陸の乾燥盆地が共存します。アルゼンチンはアンデスの東側に広がる高地メンドーサを中心に、標高の高い畑が特徴です。歴史的には世界のワイン文化は約8,000年前、ジョージア(考古学的調査)に起源があるとされます。近代では1976年、スティーブン・スパリュア主催のパリスの審判が新世界ワインの注目を高めた点も重要です(1976年、スティーブン・スパリュア主催)。
主要産地と気候
チリの主要産地
代表的な産地にマイポ・ヴァレー、コルチャグア、カサブランカなどがあります。マイポ・ヴァレーは古くからの赤ワイン産地で、カベルネ・ソーヴィニヨンが良く育ちます。コルチャグアは日較差が大きく、濃厚な果実味を持つワインが生まれます。カサブランカは冷涼で白ワインやスパークリングワインに適します。海洋性の影響とアンデスから流れる乾いた風がテロワールを形作ります。
アルゼンチンの主要産地
中心はメンドーサで、標高の高い畑により昼夜の寒暖差が大きく、果実の凝縮と爽やかな酸が両立します。ウコ・ヴァレーやルハン・デ・クージョなどのサブリージョンが知られます。南部のパタゴニアでは冷涼な条件が白ワインやスパークリングワインに向きます。
代表品種と味わい
アルゼンチンの顔はマルベックです。マルベックは果実味が豊かで色が濃く、ミディアム〜フルボディの赤ワインを生みます。チリではカルメネールが有名で、スパイスやハーブのニュアンスが出ることがあります。どちらの国でもカベルネ・ソーヴィニヨンやシラー/シラーズ、シャルドネなど国際品種が幅広く栽培され、地域ごとに個性が出ます。
ワインのタイプ別の傾向
- 赤ワイン:両国とも主力。アルゼンチンはマルベック中心、チリはカルメネールやカベルネ・ソーヴィニヨンが代表的。
- 白ワイン:標高や沿岸地域で活躍。シャルドネやソーヴィニヨン・ブランが多い。
- ロゼワイン:夏向けにフレッシュなスタイルが増加。軽やかな果実味が特徴。
- スパークリングワイン:冷涼な地域や高品質の白葡萄を使い、瓶内二次発酵やシャルマ方式で生産されるものがある。
- 酒精強化ワイン:伝統的な主要産品ではないが、地元向けや実験的なスタイルで見られることがある。
- オレンジワイン:古い醸造法や自然派生産者による造りが注目され、白葡萄を皮ごと発酵させるスタイルが増えている。
醸造と科学的ポイント
発酵の基本は酵母の働きです。酵母が糖をアルコールと二酸化炭素に分解し、アルコールが生成されます(酵母が糖をアルコールと二酸化炭素に分解)。赤ワインと白ワインで醸造手法が異なり、皮や種を長く接触させると色やタンニンが抽出されます。熟成過程ではマロラクティック発酵(MLF)が行われることがあり、これは乳酸菌の働きによりリンゴ酸が乳酸に変換される過程です(乳酸菌によりリンゴ酸が乳酸に変換)。これにより酸味が穏やかになり、まろやかな口当たりが生まれます。
品種の同定や系統研究ではDNA解析が活用されており、UCデービスなどの研究機関が重要な知見を出しています。例えばキャロル・メレディス博士(UCデービス)らの研究は品種の起源や親子関係の解明に貢献しました。これにより各地で栽培される品種の本来の系統や、地域に適したクローン選択が進んでいます。
料理との相性
ペアリングは同調・補完・橋渡しの考え方で考えると分かりやすいです。例えば果実味豊かなマルベックはグリルした赤身肉と同調し、タンニンの苦味が味わいを複雑にし素材の旨みを引き出す働きがあります。白ワインの酸味は脂の重さをリフレッシュして補完するため、揚げ物やクリーム系の料理と合わせやすいです。スパークリングワインは前菜や揚げ物と橋渡しの役割を果たします。
| 項目 | チリ | アルゼンチン |
|---|---|---|
| 代表産地 | マイポ・ヴァレー、コルチャグア、カサブランカ | メンドーサ、ウコ・ヴァレー、パタゴニア |
| 気候の特徴 | 沿岸の冷涼地帯と内陸の乾燥盆地が混在 | 高地で昼夜の寒暖差が大きい乾燥気候 |
| 代表品種 | カルメネール、カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ | マルベック、トロンテス、カベルネ・ソーヴィニヨン |
| 味わいの傾向 | ミネラル感と鮮明な酸、スパイス感のある赤が得意 | 凝縮した果実味としっかりとした骨格の赤が得意 |
"1976年、スティーブン・スパリュア主催のパリスの審判は新世界ワインの評価を高める契機となりました(1976年、スティーブン・スパリュア主催)。
まとめ
- 多様なテロワールから幅広いスタイルが生まれる:標高や海洋性の違いが味わいを決める。
- 代表品種の個性を知る:アルゼンチンはマルベック、チリはカルメネールやカベルネ・ソーヴィニヨンが特徴的。
- 醸造の基本を押さえる:酵母が糖をアルコールと二酸化炭素に分解し、MLFでは乳酸菌によりリンゴ酸が乳酸に変換されることで味わいが整う。
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