カルメネールとチリ料理のペアリング|エンパナーダ

カルメネールとチリ料理のペアリング|エンパナーダ

カルメネールはチリを代表する黒ブドウ品種。エンパナーダの肉感や香辛料と味覚の同調・補完を生かすペアリング術を解説します。

カルメネールとは

カルメネールは黒ブドウ品種に分類され、チリを中心に知られる品種です。19世紀まではフランス原産と考えられていましたが、20世紀後半にチリで多く栽培されていることが再評価されました。DNA解析によりカルメネールがメルローとは別品種であることが確認されました(出典: UCデービス、Carole Meredithら 1996年)。また、カルメネールはチリで主要な品種の一つとされます(出典: OIV 2022年統計)。

カルメネールの特徴と香り

カルメネールは一般にミディアム〜フルボディで、熟度によって表情が大きく変わります。若い果実は赤系・黒系果実の香りがあり、程よいタンニンを伴います。特徴的なのはピーマンや青草を連想させる香りで、これはピラジンによるものです。ピラジンは未熟なブドウに多く含まれますが、完熟が進むと減少し果実本来の香りが際立ちます。

要素特徴
品種分類黒ブドウ品種
ボディミディアム〜フルボディ
代表的な香りブラックベリー、プラム、緑ピーマン、ハーブ
タンニン中程度〜しっかり(熟度と醸造により差がある)

エンパナーダ(チリ)の特徴

チリの代表的なエンパナーダはエンパナーダ・デ・ピノと呼ばれ、主に牛ひき肉、玉ねぎ、ゆで卵、黒オリーブ、パプリカやクミンなどの香辛料が入ります。生地はバターやラードでしっとりと焼かれ、内側のジューシーさと生地の香ばしさが特徴です。地域や家庭によって辛味の有無や具材の比率は異なりますが、肉のうまみと程よいスパイスが中心になります。

カルメネールとエンパナーダのペアリング

味覚の同調

エンパナーダの肉の旨みやスパイスはカルメネールの果実味や樽香と同調します。具体的には、ワインのブラックベリーやプラムの果実味が肉の甘みと響き合い、トースト香や柔らかいスパイス感が焼き上げた生地の風味と重なります。このような同調により、双方の香りや風味が引き立ちます。

味覚の補完

カルメネールの持つ中程度のタンニンと酸は、エンパナーダの脂や肉のこってり感を適度に受け止め、口中のバランスを整えます。タンニンの苦味は味わいを複雑にし、素材の旨みを引き出します。ワインのハーブ感やピーマン香はエンパナーダのクミンやパプリカと補完関係を作り、香りの奥行きを増します。

  • エンパナーダの肉とワインの果実味で味覚の同調を狙う
  • スパイスが強い場合は果実味が豊かなカルメネールを選び、補完を意識する
  • 焼き目のある生地には樽由来の香ばしさが同調する

楽しみ方とサービス

カルメネールをエンパナーダと合わせる際の基本的なサーブ法です。温度管理やグラス選びで相性はさらに良くなります。

  • 適温: 15〜17℃くらい。冷やしすぎると果実香が閉じるため注意
  • グラス: チューリップ型グラスはアロマをまとめ、バルーン型グラスは丸みある果実味を広げる
  • デキャンタ: 若いカルメネールは30分ほどデキャンタすると香りが開きやすい
  • 調理: エンパナーダのスパイスを控えめにするとワインの繊細さが見えやすい
  • 合わせ方: 具材にチーズや辛味を加える場合は果実味豊かなワインを選ぶと補完が働く

ペアリング・チャート

エンパナーダのタイプ推奨度合わせる理由
エンパナーダ・デ・ピノ(牛肉・玉ねぎ)肉の旨みとカルメネールの果実味が同調し、スパイスとハーブ香が補完する
チーズ入りエンパナーダチーズのコクには果実味豊かなカルメネールが橋渡しとなる
辛味の強いエンパナーダ辛味が強すぎるとワインの繊細さが隠れるため、控えめの辛さがおすすめ
シーフード系エンパナーダ×酸味のある白ワインの方が一般的に相性がよい

科学的な補足: ピラジンとは未熟なブドウに多い成分で、ピーマンや青草の香りの原因になります。完熟が進むとピラジンは減少し、果実香が前面に出ます。マロラクティック発酵(MLF)により酸味が穏やかになり、口当たりがまろやかになることもあります。

まとめ

  • カルメネールは黒ブドウ品種で、ピーマン香と果実味が特徴。DNA解析でメルローとは別品種と確認されています(出典: UCデービス 1996年)。
  • エンパナーダ・デ・ピノは肉の旨みとスパイスが中心。カルメネールとは味覚の同調・補完が働きやすく相性が良い。
  • サービスでは15〜17℃、チューリップ型またはバルーン型グラスを使い、若いワインは軽くデキャンタするのがおすすめ。

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