アスティに使われるモスカート種|香り高いブドウ
アスティに使われるモスカート種の特徴と栽培、製法、テイスティング、料理との味覚の同調・補完までを初心者向けに解説します。
アスティとは
アスティはイタリア北西部のピエモンテで造られる甘口〜やや甘口のスパークリングワインの総称です。生産は法的に保護・規定された原産地呼称のもとで行われ、地元の白ブドウ品種であるモスカート(モスカート・ビアンコなど)が主体となります。軽やかな泡と豊かな香り、低〜中程度のアルコールが特徴で、気軽に楽しめるスタイルが多く見られます。
モスカート種の特徴
モスカートは香りの豊富さが最大の特徴です。白い花、オレンジブロッサム、ライチ、熟した柑橘や蜂蜜のようなニュアンスが現れやすく、甘みを伴うと香りの印象が強まります。一般的に果皮に香り成分が多く、早めに収穫しても芳香を保ちやすい品種です。
香りと味わいの成り立ち
モスカートの香りは果皮由来の芳香物質に由来します。発酵を早めに止めて残糖を残すと、香りと甘みが同時に前面に出て、デザートワイン的な魅力が強まります。一方で発酵を進めて辛口に寄せると、香りは控えめになり酸味が目立ちます。
栽培とテロワール
ピエモンテの冷涼な気候はモスカートの芳香を保つのに適しています。日照と夜間の温度差が香り成分を蓄える要因となり、土壌や畑の向きによって香りの強さや果実味の厚みが変化します。ここでいうテロワールとは、土地・気候・人的要素の総体を指します。
製法とスタイル
アスティ系のスパークリングは主にタンク内二次発酵(シャルマ方式)で造られます。これはフレッシュな果実味と華やかな香りを保つのに適した方法です。他にも瓶内二次発酵(メトード・トラディショネル)や炭酸ガス注入(ガス注入法)という選択肢がありますが、伝統的なアスティの多くはシャルマ方式を採用します。
| 製法 | 正式名称 | 特徴 | 代表例 |
|---|---|---|---|
| 瓶内二次発酵 | メトード・トラディショネル | 瓶の中で二次発酵を行い、澱抜きを経る。きめ細かい泡と複雑な風味が得られる | シャンパーニュ、クレマン |
| タンク内二次発酵 | シャルマ方式 | 大型タンクで二次発酵させ、フレッシュな果実味を保つ | プロセッコ、アスティ |
| 炭酸ガス注入 | ガス注入法 | 完成したワインに炭酸を注入する方式。低コストで即効性がある | 安価なスパークリング |
モスカートの製法上の選択肢
モスカートを使ったワインは、収穫時期や発酵の止め方で幅広いスタイルが生まれます。マスカット・ダスティ(Moscato d'Asti)は低アルコールで微発泡のスタイルが多く、シャルマ方式や部分的な発酵停止で甘みと香りを残します。アスティ・スプマンテはしっかりと発泡を伴うタイプで、より華やかな印象になります。
テイスティングとサービス
モスカート由来のアスティは香りを楽しむワインです。サーブはよく冷やして、適温は6〜8℃程度が目安です。グラスはフルート型やチューリップ型グラスを用いると、香りと泡立ちのバランスが取りやすくなります。
香りと味わいの観察ポイント
- 外観:淡い麦わら色から淡いゴールド。微発泡の場合は気泡が穏やか
- 香り:白い花、ライチ、オレンジブロッサム、ハチミツや柑橘のノート
- 味わい:甘みと酸味のバランス、果実味の豊かさ、後口のさっぱり感
料理との組み合わせ
モスカート由来のアスティは甘みと香りが魅力です。そのためデザートや果実を使った料理と味覚の同調・補完を生みやすい組み合わせになります。軽い酸味があるため、スパイシーなアジアン料理との補完関係も楽しめます。
- フルーツタルトやレアチーズケーキ:果実味と甘みが同調する
- 和菓子やフルーツ盛り合わせ:香りが補完して互いの魅力を引き出す
- スパイシーな中華やタイ料理:甘みが辛さを補完してバランスを作る
選び方とラベルの読み方
ラベルでは甘辛度やスタイル、産地表示に注目しましょう。微発泡(フリッツァンテ)やスプマンテ(スパークリング)の表記、そしてアスティという産地名は、法的に保護・規定された原産地呼称のもとでの生産を示します。好みで甘みの強さや泡の強さを選ぶとよいでしょう。
| 表記 | 味わい | 残糖量(g/L) |
|---|---|---|
| ブリュット・ナチュール | 極辛口 | 0〜3 |
| エクストラ・ブリュット | 辛口 | 0〜6 |
| ブリュット | 辛口 | 0〜12 |
| エクストラ・ドライ | やや辛口 | 12〜17 |
| セック | やや甘口 | 17〜32 |
| ドゥミ・セック | 甘口 | 32〜50 |
| ドゥー | 極甘口 | 50以上 |
よくある誤解
甘い=単調、という見方は誤解です。モスカート由来のワインは香りの多様性と酸味のバランスがあり、甘みがあるからこそ複雑さを感じることが多いです。また、スパークリングの製法によって表現の幅が大きく変わる点も覚えておきたいポイントです。
まとめ
- モスカートは白い花やライチ、柑橘の香りが豊かで、アスティの個性を決定づける品種です。
- アスティは主にシャルマ方式で造られ、フレッシュな果実味と華やかな香りを楽しめます。
- デザートや果実料理とは味覚の同調・補完を生みやすく、フルート型やチューリップ型グラスで香りを活かして提供すると良いでしょう。