ペットナットとは|自然派の濁り泡
ペットナットは自然派の濁り泡。ボトル内で発酵を終える古典的手法と低介入の風味が特徴で、カジュアルな食卓に合うスパークリングです。
ペットナットとは
ペットナットはフランス語で「自然に発泡する」を意味するpétillant naturelの略称です。一次発酵が終わり切らない段階、または一次発酵中に瓶詰めして瓶内で発酵を完了させることで炭酸を自然に閉じ込めます。澱や微かな濁りを残すことが多く、低介入・自然派ワインのカテゴリで親しまれています。
味わいとスタイル
ペットナットの味わいは多様です。フレッシュな果実味が前面に出るもの、微かな発酵香や酵母由来の旨みが感じられるもの、甘辛度も辛口寄りからやや甘口まで幅があります。澱を残すためにテクスチャーが厚く感じられることがあり、飲み応えのある軽快さが特徴です。
主な製法
スパークリングワインには代表的に三つの製法があります。ここでは各方式の特徴と代表的な効果を説明します。専門用語は初出時に簡潔に注記します。
| 製法 | 正式名称・別名 | 特徴 | 代表的な例 |
|---|---|---|---|
| 瓶内二次発酵 | メトード・トラディショネル | 瓶の中で二次発酵を行い、発酵後に澱抜き(デゴルジュマン)を経る。きめ細かな泡と熟成由来の複雑さが得られる。 | シャンパーニュ、クレマン |
| タンク内二次発酵 | シャルマ方式 | 大型タンクで二次発酵を行うため、フレッシュな果実味を保ちつつ短時間で生産できる。 | プロセッコ、アスティ |
| 炭酸ガス注入 | ガス注入法 | 完成したワインに炭酸を注入する手法。短時間で泡をつけるためコストを抑えられる。 | 一部の廉価なスパークリング |
ペットナットは上述のうち「瓶内で発酵を完了させる」方式に分類されますが、メトード・トラディショネルとは異なる点があります。具体的にはméthode ancestrale(アンセストラル方式)と呼ばれることが多く、瓶詰め後に発酵を終え、通常は澱抜きを行わずに出荷されるため濁りや酵母の存在を残します。
ペットナットの楽しみ方とサービス
サーブする際はよく冷やしてから開けます。温度はやや高めの方が香りが広がりやすいので、一般に8〜10℃が目安です。澱が入っている瓶は静かに扱い、コルクをゆっくり押さえながら開けると穏やかな音で抜栓できます。
- フルート型グラス:泡の立ち上がりを楽しみたいときに適する
- チューリップ型グラス:香りを感じ取りたいときに適する
- 注ぐときは軽くスワリングせず、静かに注いで澱の一部を残す表現を楽しむ
ペアリング例
ペットナットはフレッシュさと旨みを兼ね備えたため、食事との組み合わせが広いのが特徴です。以下は味覚の同調・補完を意識した具体例です。
- 生牡蠣や貝類:酸味とミネラル感が味覚の同調・補完を生む
- 天ぷらやフライ:発泡が脂をリフレッシュし、味わいを補完する
- チーズ(フレッシュタイプ):果実味がチーズの乳香と同調する
- スパイシーなアジアン料理:果実味が辛さの橋渡しになる
シャンパーニュとの違い
シャンパーニュはフランス北東部のシャンパーニュ地方で、定められた規定に基づき瓶内二次発酵で造られるスパークリングワインです(ここでの「アペラシオン」は法的に保護・規定された原産地呼称を指します)。許可される主要品種はシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエです。ノン・ヴィンテージは最低15ヶ月、ヴィンテージは最低36ヶ月の熟成規定があります。生産者区分にはNM、RM、CMなどがあります。ペットナットは生産手法やスタイルが自由度高く、必ずしもこれらの規定に従うものではありません。
甘辛度の表示
| 表記 | 味わい | 残糖量(g/L) |
|---|---|---|
| ブリュット・ナチュール | 極辛口 | 0-3 |
| エクストラ・ブリュット | 辛口 | 0-6 |
| ブリュット | 辛口 | 0-12 |
| エクストラ・ドライ | やや辛口 | 12-17 |
| セック | やや甘口 | 17-32 |
| ドゥミ・セック | 甘口 | 32-50 |
| ドゥー | 極甘口 | 50以上 |
ペットナットの選び方
ラベルは生産者によって表記がまちまちです。『pét-nat』や『pétillant naturel』と明記されているものを探すとよいでしょう。澱が残るタイプかどうか、甘辛度の表記、使用されたブドウ品種をチェックすると味の予想がしやすくなります。初心者はフレッシュで果実味の明快なものから試すのがおすすめです。
保存と開栓の注意点
ペットナットは低介入で澱を含むことが多いため、開栓時に澱が吹き出すことがあります。よく冷やしてから、静かに抜栓してください。開封後は冷蔵保存し、できるだけ早めに飲み切るのが安全です。
さらに知っておきたいポイント
- ペットナットは自然派ワインの一形態として、醸造者の哲学や地域性が反映されやすい
- 澱の有無や濁りの強さは味わいやテクスチャーに影響するため、好みのタイプを見つけることが楽しみになる
- メトード・トラディショネルとアンセストラル方式は瓶内で発酵する点で共通するが、澱抜きの有無や熟成の取り扱いが異なる
まとめ
- ペットナットは瓶内で発酵を完了させる自然派の濁り泡で、フレッシュな果実味と酵母由来の旨みが魅力。
- 製法はメトード・トラディショネルやシャルマ方式、ガス注入法と区別され、アンセストラル方式は澱抜きを行わない点で特長的。
- 食事との組み合わせは味覚の同調・補完を意識すると相性が良く、フルート型やチューリップ型で楽しむと香りや泡立ちが活きる。
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