AOC/DOCとIGPの違い|品質階層を比較
AOC/DOCとIGPの違いを初心者向けに解説。原産地呼称の仕組み、規定の違い、テロワール表現の違いと実際の選び方を比較します。
AOC/DOCとは
AOC(Appellation d'Origine Contrôlée)やDOC(Denominazione di Origine Controllata)は、アペラシオン(法的に保護・規定する原産地呼称制度)に基づく制度です。これらは産地の名称を守り、どの地域で、どの品種を、どのような栽培・醸造方法で造るかを規定します。規定が細かいほど、地域固有のスタイルや伝統的なテロワール表現が守られます。AOCとDOCはそれぞれ国ごとの制度名で、地域によってはさらに細分化された格付けが存在します。
IGPとは
IGP(Indication Géographique Protégée)は、原産地表示のうち比較的規制が緩やかなカテゴリです。産地名表示を保護しつつ、品種の選択や醸造技術に柔軟性を持たせることで、新しいスタイルやテロワール以外の表現を許容します。ブドウ品種を前面に出した表示や、国際的に知られる品種での生産、収量や醸造方法の自由度が高い点が特徴です。IGPは生産者が多様な表現を試す場として利用されることが多い制度です。
AOC/DOCとIGPの主な違い
| 比較項目 | AOC / DOCの特徴 | IGPの特徴 |
|---|---|---|
| 法的位置付け | アペラシオンとしてテロワールを法的に保護・規定する | 地理的表示を保護するが規定は柔軟で多様性を許容する |
| 規定の厳しさ | 産地範囲、許可品種、栽培・醸造方法まで細かく規定される | 品種選択や醸造法に柔軟性があり自由度が高い |
| 表示内容 | 産地名が中心で、格付けや村名・畑名が重要になることがある | 品種名や生産方法を前面に出しやすい |
| 品種規定 | 許可品種が限定される場合が多く、伝統的な品種が優先される | 幅広い品種の使用が可能でアルテイストの表現を促す |
| 産地の細分化 | より細かい区画指定や格付けが存在しテロワールが明示されやすい | 広域の表示が中心で、細かい区画表記は限定的になることが多い |
| 目的・位置づけ | 地域の伝統・典型表現を守り品質の統一を図る | 新しい表現や市場性重視の多様なワインを生み出す場となる |
| テロワール表現 | 土地の個性(テロワール)を法的に守りやすい | テロワール表現は可能だが、生産者の選択に左右される |
どちらを選ぶか(実用的な視点)
AOC/DOCとIGPの違いを踏まえると、選ぶ基準は明確です。土地固有の伝統的なスタイルや典型的な産地表現を重視するならAOC/DOCが向きます。逆に品種の個性や新しい醸造手法、コストパフォーマンスや独創的なワインを探すならIGPを手に取る価値があります。重要なのは制度名だけで判断せず、生産者の方針や表示内容を確認することです。同じラベル表記でも個々の生産者で方針が大きく異なるため、ラベル記載の情報やテイスティングノートを参考にしてください。
用語解説
テロワール
テロワールは「土地・気候・人的要素の総体」を指します。ここで人的要素とは「慣習・知識・継承」を含み、栽培や醸造の伝統も含まれます。AOC/DOCはこのテロワールを法的に保護し、典型的な表現を守る仕組みです。
クリマとミクロクリマ
クリマはブルゴーニュで使われる用語で、「自然条件と歴史的利用が結びついた」最小単位のテロワール区画を指します。ミクロクリマは「畑レベルの」局所的な気候条件を示す言葉です。どちらもテロワール理解のために重要な視点です。
アペラシオンとリュー・ディ
アペラシオンは「法的に保護・規定する」原産地呼称制度のことです。リュー・ディは「品質区分を伴わない」歴史的な畑名で、地名として古くから使われてきた固有名です。ラベルにリュー・ディが載る場合、歴史的な場所の特性を示しますが、必ずしも格付けを意味しません。
シャンパーニュというアペラシオンは、定義された原産地において、その土地特有のテロワールと、定められた栽培・醸造規定に基づいて造られたスパークリングワインにのみ使用が認められています。
まとめ
- AOC/DOCはアペラシオンとしてテロワールを法的に守り、産地の典型表現を重視する制度です。
- IGPは規定が柔軟で品種表示や新しい表現を許容し、多様なワインを生む場となります。
- 制度名だけで品質を決めず、生産者の方針やラベル情報、テイスティングで判断することが大切です。