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アマローネの製法|3ヶ月の陰干し

アマローネの製法|3ヶ月の陰干し

アマローネは陰干し(アッパッシメント)で濃縮したブドウを発酵させる濃厚な赤。3ヶ月の陰干し工程と発酵の特徴、酒精強化ワインとの違いをわかりやすく解説します。

アマローネとは

アマローネはイタリア・ヴェネト地方の伝統的な干しぶどうワインの一種です。原料は主にコルヴィーナ、ロンディネッラ、コルヴィノーネなどの黒ブドウ品種で、収穫後に果房ごと陰干しして水分を蒸発させます。これにより糖分と風味が濃縮し、発酵で高いアルコールに達する一方、基本的には発酵を止めるための蒸留酒添加(酒精強化)は行いません。初めての方にもわかりやすく、陰干しの目的と発酵の違いを押さえると製法の全体像がつかめます。

陰干し(アッパッシメント)の基本工程

収穫から乾燥までの流れ

1. 収穫と選果: 健康な果房を選び、傷んだ実は除去します。 2. 果房の配置: 伝統的にはフルッタイオと呼ばれる棚や箱に並べます。 3. 陰干し期間: タイトルにあるように約3ヶ月(目安)をかけてゆっくり水分を抜きます。 4. 乾燥管理: 温度と湿度の管理が重要で、通気を確保してカビの発生を抑えます。 5. 搾汁・発酵へ移行: 濃縮した果汁を得て、通常より濃いマスト(果汁)を発酵させます。

陰干しで起きる変化と狙い

陰干しにより果実中の水分が減少して糖と酸、香り成分とフェノールが相対的に濃縮します。この濃縮したマストは発酵で高いアルコールに達しやすく、果皮由来のタンニンや色が厚みを生みます。一方で乾燥中の微生物管理やブドウの取り扱いが品質を左右します。

発酵とアルコールの扱い

陰干しで糖が濃縮したマストは、酵母によりゆっくりと発酵します。アマローネでは発酵を最後まで行い、ブドウ中の糖を出来るだけアルコールに変換するため、結果的にアルコール度の高いドライなワインになります。ここで注意したいのは、アマローネは酒精強化ワイン(フォーティファイドワイン)ではない点です。酒精強化ワインとは、発酵中または発酵後にグレープスピリッツ(ブランデー)を添加してアルコール度数を高めるワインを指します。添加のタイミングによって残糖量と味わいが変わります。

酒精強化ワインとの違い

酒精強化ワインの一例としてシェリーやポートがあります。シェリーはスペイン・ヘレス地区のD.O.で造られ、多様な熟成法(フロールやソレラシステム)を持ちます。ポートはポルトガル・ドウロ渓谷の酒精強化ワインで、発酵途中にグレープスピリッツを添加して残糖を残す製法が特徴です。これらはスピリッツ添加で甘さや保存性、異なる風味を得る点がアマローネと明確に異なります。

品質管理とよくあるトラブル

陰干し工程での主なリスクはカビの発生と過度の乾燥です。適切な通気と湿度管理、傷んだ果房の早期除去が重要です。また乾燥期間の長さは風味に直結するため、生産者は品種や当年の気候に応じて3ヶ月前後を目安に調整します。発酵では糖濃度が高いため酵母に負担がかかりやすく、耐糖性の高い酵母や段階的な温度管理が有効です。

テイスティングと楽しみ方

アマローネはフルボディで果実味とドライフルーツ、スパイスのニュアンスを持ちます。サービングはやや冷やして16〜18℃が目安です。グラスはチューリップ型グラスを使うと香りが開きやすくなります。

  • 濃厚な煮込み肉とは味覚の同調:濃厚な旨みがワインの果実味と響き合う
  • 熟成チーズとは補完:しっかりした風味がチーズの塩気と補完し合う
  • ビターチョコレートとは補完:ほろ苦さがワインの甘みの余韻を引き立てる

アマローネと代表的な酒精強化ワインの比較

項目アマローネ酒精強化ワイン(例: シェリー・ポート)
製法の特徴収穫後に約3ヶ月の陰干しで糖を濃縮し、完熟発酵を行う発酵中または発酵後にグレープスピリッツを添加して度数を上げる
甘さの傾向基本的にドライ(残糖は少ない)添加のタイミングで甘口から辛口まで幅がある(ポートは甘口が多い)
アルコール発酵で高アルコールに達する(添加はしない)スピリッツ添加でアルコールを高める(例: シェリー、ポート)
代表的な風味ドライフルーツ、スパイス、深みのある果実味シェリー: ナッツやアーモンド香(フロールやソレラ等)、ポート: 濃厚な赤や黒系果実

まとめ

  • アマローネはブドウを約3ヶ月陰干しして糖と風味を濃縮し、完熟発酵でドライなフルボディを生む製法です。
  • 酒精強化ワインとは製法が異なり、アマローネはスピリッツ添加を行わず発酵でアルコールを高めます。シェリーやポートは添加のタイミングで甘さが変わります。
  • 楽しみ方ではチューリップ型グラスと16〜18℃のサービング、濃厚な肉料理や熟成チーズ、ビターチョコレートとの味覚の同調・補完が相性のポイントです。

補足: 本記事では一般的な工程と目安を紹介しました。実際の乾燥期間や熟成方法は生産者やヴィンテージにより変わります。

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