ワインの粘性(レッグ)|グラスに残る涙の意味
ワインの粘性(レッグ)はグラスに残る“涙”から香りやアルコール、ボディ感を推測する手がかりです。観察法と注意点を具体的に解説します。
ワインの粘性(レッグ)とは
グラスの内側にゆっくりと流れ落ちる筋状の液滴を「レッグ」または「涙」と呼びます。表面張力と蒸発による濃縮が原因で、アルコールが蒸発すると残った液が集まり、筋になる現象です。レッグ自体は直接的な品質の証明ではありませんが、アルコール度数や残糖、グリセロールの量などワインの性質を示す手がかりになります。
粘性が示すこと
アルコールと残糖の影響
レッグが太くゆっくり流れる場合、一般的にアルコール度数が高いか残糖やグリセロールが多いことを示唆します。逆に細く早く落ちる場合はアルコールが低めで、軽やかな印象のことが多いです。ただし例外もあり、ワイン全体の構成(酸、タンニン、温度)を合わせて判断する必要があります。
ボディ感やテクスチャのヒント
レッグは口に含んだときの「厚み」や「粘性感」のヒントになります。ゆっくりしたレッグは口当たりに厚みがある傾向を示し、早いレッグは軽やかさを示すことが多いです。ただし、レッグのみでフルボディかどうかを断定するのは避け、香りや味わいと合わせて総合的に判断してください。
観察方法と具体的手順
用意するものは透明なグラス、光源(窓際やテーブルランプ)、温度計(あれば)。観察は静かな動作で行い、ワインを強く揺らしたり素早く動かしたりしないことが重要です。以下の手順で行ってください。
- グラスにワインを注ぐ(30〜50ml程度が観察しやすい)
- グラスを軽く回す(腕のスナップではなく手首のゆっくりとした回転)
- 回した後、グラスを静止させて内側の液滴の形成を観察する
- 液滴ができてから落ちる速度や太さ、残る形を確認する
- 香りと味わいを総合してメモする(温度とグラス形状も記録)
やってはいけないこと(失敗回避)
- グラスを激しく振る・振り回す:泡や撹拌で正確な観察ができなくなる
- 観察直前に氷を入れる:急激な温度変化で見え方が変わる
- レッグだけでワインの品質を判断する:単独判断は誤解の元になる
温度とグラスが与える影響
温度が低いと渋みや苦味が強調され、温度が高いとアルコール感が立ちやすくなります。適温で飲むことで、ワイン本来の香りと味わいのバランスが最も良く感じられます。
観察時のワイン温度は重要です。同じワインでも温度が違えばレッグの表情が変わります。以下の表はワインタイプ別の適温と、観察やサービスに適したグラス形状の目安です。
| ワインタイプ | 推奨適温(℃) | 推奨グラス |
|---|---|---|
| フルボディ赤 | 16-18℃ | チューリップ型 |
| ミディアムボディ赤 | 14-16℃ | チューリップ型 |
| ライトボディ赤 | 12-14℃ | バルーン型 |
| フルボディ白 | 10-12℃ | チューリップ型 |
| ライトボディ白 | 8-10℃ | チューリップ型 |
| スパークリング | 6-8℃ | フルート型 |
| 甘口・デザートワイン | 6-8℃ | チューリップ型 |
表中の温度は観察と飲用の両方に有益です。例えばフルボディの赤を16-18℃で観察すると、アルコールや粘性が適切に表れるため、レッグの判断がしやすくなります。グラスは香りを引き出す役割もあるので、推奨の形状を使うと総合的な評価がしやすくなります。
専門器具がない場合の代替案
- 温度計がない場合:ボトルを持って手の感触で判断。白は冷たいが冷たすぎない、赤はひんやりする程度が目安
- 専用グラスがない場合:透明で口がやや開いたグラスを使う。飲み口が狭いと香りが逃げにくく観察しづらいので注意
- 冷却が必要なとき:氷水(氷+水)に20分ほど浸けると素早く適温に近づけられる
観察から読み取る際の注意点
レッグはあくまで手がかりの一つです。香りや味わい、酸やタンニンの構成と合わせることで意味が明確になります。また、温度やグラスの違いで見え方が変わるため、比較するときは条件を揃えてください。主観的な印象は記録して、複数回観察することで精度が高まります。
よくある誤解とその解消法
- レッグ=高品質という誤解:レッグは性質の指標であり、必ずしも品質の直接的な証明ではない
- レッグだけでボディを決めない:香りや味わいと合わせて評価する
- 速いレッグは必ず薄い味という誤解:酸やタンニンの構成で異なる表情が出る
まとめ
- レッグはアルコール、残糖、グリセロールなどワインの性質を示す手がかりであり、香りや味わいと合わせて解釈することが重要です。
- 観察は適切な温度(例:フルボディ赤は16-18℃、ライトボディ白は8-10℃)と透明なグラス(チューリップ型/バルーン型/フルート型)で行うと精度が上がります。
- 専門器具がなくても氷水で急冷する、手の感触で温度を確認するなどの代替法で十分に実践可能です。やってはいけないことを避け、複数回観察して判断を深めてください。