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リダクション(還元)|閉じた香りの原因と対処法
#用語解説
リダクション(還元)とはワインの「閉じた香り」や硫黄系の不快臭の原因です。原因の見極め方と、開かせるための具体的な対処法、予防策を初心者向けに解説します。
リダクション(還元)とは
リダクション(還元)はワインの香りや風味が「閉じている」ように感じられる状態を指します。専門的には酸化と対をなす概念で、酸素供給が限られる環境で生じやすい現象です。典型的な表現は「香りが立たない」「硫黄や卵のような匂い」が現れることです。ここでの硫黄系の香りは、硫黄含有の揮発性化合物が原因である場合が多く、量や種類によって印象が変わります。
還元の原因
醸造・熟成過程での要因
- 発酵中や熟成中の酸素供給が不足している
- 硫黄化合物の使用や残存(硫黄添加やブドウ自体の影響)
- ステンレスタンクなど酸素透過が少ない容器での長期保存
- 澱(おり)との接触や還元的な醸造処理
- マロラクティック発酵(MLF)や酵母代謝の過程で生じる揮発性化合物
保管や輸送での要因
ボトル内のヘッドスペースが大きい、または逆に酸素がほとんど入らないまま長期間保管された場合に還元的な傾向が強まることがあります。流通や輸送で急激な温度変化があると、ワインの匂いが「閉じる」こともあります。
還元かどうかを見分ける方法
- 香りが閉じている:果実や花の香りが弱く、開かない印象がある
- 硫黄系の匂い:腐卵臭や硫黄のような鋭い匂いがあるか確認する
- 時間経過で変化するか:短時間デキャンタや空気接触で改善するか試す
- ワインの種類:白ワインや若いワインで起きやすい傾向がある
対処法(開かせるための具体的手段)
すぐに試せる方法
- デキャンタージュ:ワインをデキャンタに移して数十分から数時間置く。軽度の還元は改善することが多い
- グラスで空気に触れさせる:グラスを回す、浅く注いで香りを確認する
- エアレーターの使用:空気を導入して香りを開かせる
- 温度をわずかに上げる:冷たいワインは香りが閉じやすい。サービス温度に近づけると改善する場合がある
改善が難しい場合
硫黄系の強い臭い(腐卵臭など)が顕著で、空気に触れさせても改善しない場合は、ワイン中の揮発性硫黄化合物が原因である可能性が高く、完全に元に戻らないことがあります。そうした場合は、少量の別のワインとブレンドして飲む、または料理とのペアリングで香りを補完するなどの工夫が現実的です。
予防策:醸造現場と家庭でできること
- 適切な酸素管理:発酵や熟成での酸素管理を意識する
- 硫黄添加の管理:過剰な硫黄添加を避け、必要最小限に留める
- 樽や容器の選択:樽は微量の酸素を供給するため、還元傾向を和らげる場合がある
- 澱管理:シュール・リーなど澱との接触は風味を厚めるが、管理を適切に行う
- 保存は横置き・適温で:急激な温度変化を避ける
- 開栓後は早めに飲む:長時間放置すると状態が変わることがある
- グラスやデキャンタでの酸素接触を活用する:開栓直後の香りを整える
還元の程度と対処の目安
| 程度 | 香りの例 | 対処法 |
|---|---|---|
| 軽度 | 香りが閉じている、わずかな硫黄臭 | デキャンタや空気接触で数十分〜数時間で改善 |
| 中等度 | 硫黄系の匂いがはっきり感じられる | デキャンタで長時間置く・エアレーターを試す。料理で補うのも有効 |
| 重度 | 強い腐卵臭や金属的な嫌な匂い | 空気接触でも改善しない場合がある。ブレンドや料理での対応を検討 |
シャンパーニュに関する補足
「シャンパーニュ」というアペラシオンは、定義された原産地において、その土地特有のテロワールと、定められた栽培・醸造規定に基づいて造られたスパークリングワインにのみ使用が認められている。
よくある誤解
還元が必ずしも「欠陥」ではありません。軽度の還元はワインの熟成過程で一時的に現れ、時間とともに香りが開くことがあります。一方で強い硫黄系の匂いは消えない場合があり、その鑑別が重要です。
まとめ
- リダクション(還元)は香りの閉じや硫黄系の匂いを指し、原因は酸素不足や硫黄化合物など多岐にわたる
- 軽度ならデキャンタや空気接触で改善する。強い硫黄臭は改善が難しいことがあるため見極めが重要
- 予防は醸造段階での酸素管理や硫黄管理、家庭では適切な保存と開栓後の空気接触で実践できる