
2025.04.03
2024年 高級ワイン市場レビュー:静かな1年、それでも動きはある
2024年の高級ワイン市場は、低調な取引と価格の下落が中心的なテーマとなった1年でした。特に、ボルドー、ブルゴーニュ、スーパータスカン、シャンパーニュといった主要ワイン産地の価格指数は全体的に下降傾向にあり、市場全体のムードは冷え込んでいます。
2024年の高級ワイン市場は、低調な取引と価格の下落が中心的なテーマとなった1年でした。特に、ボルドー、ブルゴーニュ、スーパータスカン、シャンパーニュといった主要ワイン産地の価格指数は全体的に下降傾向にあり、市場全体のムードは冷え込んでいます。
🔹 価格下落の背景:ワイン市場に限らないラグジュアリー全体の潮流
国際的なワイン商社Bordeaux Indexは、今号のコメントの中で「2024年末にかけて、市場は依然として買い手の熱気に欠ける状況が続いている」と述べ、これはワイン市場に特有の問題というより、ラグジュアリー商品全体、そして裁量的な支出分野全体で見られる現象であると分析しています。
たしかに、世界的なインフレ、金利上昇、地政学的リスク、株式市場の不安定さなど、複合的な経済要因が高級消費に対する慎重な姿勢を強めているのは間違いありません。
🔹 下落一辺倒ではない:特定のワインに見る回復の兆し
とはいえ、全てのワインが下落したわけではなく、一部の銘柄では価格上昇の例も確認されています。Bordeaux Indexのデータによると、特定のオールドヴィンテージやレアアイテムに関しては、依然として堅調な需要が見られました。
また、同社の取引プラットフォーム「LiveTrade」のCEOであるマシュー・オコンネル氏は、「市場には一部で回復の兆しも見られるが、本格的な反転の時期はまだ不確実だ」と慎重な見通しを語っています。
🔹 オークション市場に見る“選ばれる銘柄”
2024年のオークション市場では、シャトー・ラトゥール1865年ヴィンテージのような、直接シャトーから供給された極めて希少なワインに対しては、アジア市場を中心に強い関心が寄せられました。このワインはクリスティーズ香港の競売に出品され、話題を呼びました。
一方で、かつて高評価を受けたシャトー・シュヴァル・ブラン1947年が、デンマークのオークションで入札ゼロに終わるというニュースも報じられており、オークション市場においても「選ばれるワイン」と「選ばれないワイン」の二極化が進んでいる様子が見受けられます。
🔹 市場の先行き:2025年に向けた静かな期待
市場の先行きを占う中で、多くの業界関係者は2025年を**「反転の兆しを探る年」と捉えており、特に限定的なリリースや上質な古酒への投資需要は続く**との見方が強いです。
Liv-exのデータも引用されており、取引量や価格水準は依然として控えめながら、ボルドーやブルゴーニュの一部銘柄には安定感が見られるとされています。
🍷 総括:今は「待ち」のとき、しかし目を離すな
2024年は、買い控えと慎重姿勢が支配した静かな市場ではありましたが、同時に本当に価値あるワインが見直され始めた1年でもありました。
こうした環境下では、市場における「選球眼」がより重要となり、情報を的確に捉えることが成功のカギとなります。2025年以降の展望は、経済動向と消費者マインドの変化に大きく左右されるでしょう。
今後も“本物”が評価される市場になることを願いつつ、引き続き、注目すべきワインと生産者を冷静に見極めていくべき時期と言えそうです。