
2025.06.12
フランスワインの輸出、2年連続で減少
〜高価格帯が苦戦、クレマンに希望〜 2024年のフランスワインとスピリッツの輸出額は、前年比4%減の約155億6,000万ユーロとなり、2年連続のマイナス成長となりました。ただし、輸出「量」はほぼ横ばい(−0.1%)で、1億7,400万ケースと安定。つまり、“売れはしたけど単価が下がった”という構図です。
🇨🇳中国低迷が直撃、🇯🇵日本も4%減
とくに中国市場の冷え込みが目立ち、輸出額は前年から20%も落ち込み、10億ユーロを下回りました。シンガポール(−25%)、香港(−12%)、日本(−4%、約6億5,500万ユーロ)などアジア全体でもやや厳しい展開が続いています。
一方で、全体として「高価格帯」から「手頃価格帯」へのシフトが進行中。これはボルドーやシャンパーニュの減少に象徴されています。
🍾シャンパーニュは8%減、代わりにクレマンが好調✨
フランス最大の輸出カテゴリーであるシャンパーニュは、輸出量で9.7%減、金額で8%減と減少トレンドが鮮明に。一方、クレマン・ド・ロワールやクレマン・ダルザスなど、他アペラシオンのスパークリングワインは好調で、輸出額は前年比+9.5%と存在感を増しています。
「泡は飲みたいけれど、お手頃に」が今の世界の気分かもしれません。
🍷ボルドーも静かに減速中…
ボルドーワインは輸出量が4.5%減(1,660万ケース)、輸出額は1.4%減(52億8,000万ユーロ)。特定市場だけでなく、グローバルにやや“伸び悩み”が感じられる状況です。
FEVS(フランス・ワイン・スピリッツ輸出業者連盟)は、これらの背景に「インフレ」と「地政学的な不安定さ」があると指摘。数年前までの“プレミアム路線”が弱まり、「よりコスパ重視」の消費傾向が強まっているようです。
🥃スピリッツも苦戦、中国の制裁が影響?
コニャックやアルマニャックといったスピリッツ輸出は、前年比6.5%減の約44億8,200万ユーロ。こちらも中国市場が大きな要因で、北京政府による「反ダンピング調査」がヨーロッパ産ブランデーに影を落としました。
📝まとめ
- 💸 輸出額全体では前年比4%減
- 🍾 高価格帯の減速(シャンパーニュ、ボルドー)
- 🍾 クレマンなどお手頃ワインが堅調
- 🇨🇳 中国市場が足を引っ張る
- 🌍 地政学・インフレの不確実性が続く
今後の焦点は、価格帯の多様化と新興市場での浸透力。フランスワインは、厳しい時代においても「飲む理由」を提供できる存在であることが問われています。