
2025.05.24
ボルドー2024年ヴィンテージ、当たり年?それとも…。。──静けさの中に息づく気品“繊細な優雅”を味わう
2024年のボルドーは、華やかな果実味や濃厚さで押し切るタイプのヴィンテージではありません。それでも、その奥には確かな静けさ、そして上質なバランスが息づいています。気まぐれな天候に翻弄された1年でしたが、丁寧な栽培と冷静な醸造によって、静謐な美しさを携えたワインが誕生しました。 この年の特徴は、何よりも“軽やかさ”と“正直さ”。アルコール度数はほとんどが13.5%以下と控えめで、酸は高く、果実味は冷涼感のある赤系果実やブルーベリー、フローラルな香りが印象的です。タニンはおおむね滑らかで、強すぎず、上品に輪郭を描きます。 多くのワインは、熟成を待つよりも今味わうことに適しており、2〜5年で最良の姿を見せるものが多いでしょう。これからの暑い季節には、エレガントで清涼感のある1本をセラーから抜いて、軽く冷やして楽しむのも一興です。 もちろんこの年、成功と失敗はシャトーごとに大きく分かれました。しかしそれだけに、隠れた逸品や“誠実さの光るグラス”との出会いは、まさにボルドー・ファンの特権です。
ボルドー2024年のスタイル的特徴
- 果実の成熟:成熟の達成が分かれ道。遅い収穫によって熟度を得たワインは厚みと甘やかさを持ち、未熟だったものは青さが残りがち。
- テクスチャー:チョーキー(石灰質)やグラヴェリー(砂利質)の口当たりが多く、ミネラル感が前面に。ときに羽のように軽やかな印象も。
- タニン:繊細でシルキーなものから粗めで乾いたものまで様々。収穫と抽出のタイミングがカギに。
- アロマ:果実のフレッシュさに加えて、花やハーブ、土壌由来のニュアンスが立ち、特に“涼しさ”のある香りが印象的。
白ワイン・甘口ワインの特徴
白ワインは特にセミヨンが傑出し、柑橘系や白桃、塩気のあるミネラル感を持つワインが好印象。フレッシュで飲みやすく、真夏のアペリティフにもぴったりです。
甘口のソーテルヌも、ボトリティスが順調に進んだ区画では非常に良質なワインが生まれました。密度や凝縮感にはバラつきがあるものの、飲みやすさと透明感のある甘みが際立ちます。
この年の魅力と課題
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- 低アルコール(多くが13.5%以下)
- 鮮烈で活き活きとした酸
- 花や果実の香りが際立ち、飲みやすく楽しい
- テロワールの個性が感じられる
- 若いうちから楽しめる、今飲み向き
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- 青さ、未熟さが目立つものも
- 水っぽさや薄さ、中盤の空洞感
- 酸味がやや鋭すぎてバランスを欠くものも
- タニンが粗い、乾くようなワインも散見
結論
2024年は、“決して偉大な年”ではないかもしれません。けれども、“誠実な仕事が報われた年”であり、“軽やかで真っすぐな美しさ”を知るには最適なヴィンテージです。例年の濃厚ボルドーにやや疲れた方にとっては、むしろ新鮮で魅力的な選択肢となるはずです。
シャトーごとの“誠実さ”に触れる喜び──それが2024年のボルドーの楽しみ方です。今こそ、軽やかな感性で選びたい一本を。