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2025.04.01

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節度ある飲酒は良い?悪い?──揺れる科学と社会のはざまで

2025年1月、アメリカの退任間近の公衆衛生局長官ヴィヴェック・マーシー博士が、

節度ある飲酒は良い?悪い?──揺れる科学と社会のはざまで

2025年1月、アメリカの退任間近の公衆衛生局長官ヴィヴェック・マーシー博士が、アルコール飲料に強力な健康警告ラベルを義務化するべきと訴え、改めて「節度ある飲酒」の是非が世界中で注目を集めています。

「ワインは体にいいのか悪いのか?」という問いに、ハーバード大学の研究者はこう答えます。

「イエス(=両方)」

マーシー博士の主張と医療界の警鐘

マーシー博士は「現在のガイドラインに沿った飲酒(女性は1日1杯、男性は2杯まで)でも、乳がん、結腸がん、咽頭がんのリスクが上昇する」とし、たばこと同様の警告表示を求めました。

■ 米国では毎年10万件のがん症例と2万件の死がアルコールに関連

■ 「安全な量は存在しない」と主張

一方で、この発言はワイン業界や外食産業から強く反発され、「科学的根拠よりも偏見に基づいた議論だ」と批判の声も上がっています。

相反する科学研究:どちらが本当?

この議論には、2つの相反する大規模な研究が絡んでいます。

飲酒賛成派:NASEM(米国科学アカデミー)の報告(2024年12月)

■ 節度ある飲酒者は、全体の死亡率が16%低い

■ 心疾患・脳卒中のリスクが低下

■ 乳がん以外のがんとの関連性は不十分

■ 飲酒の社会的側面(絆の強化)にも注目

飲酒否定派:HHS(保健社会福祉省)の委託パネルによる新見解(2025年1月)

■ 少量でもがんリスクが増加

■ 心臓への恩恵は否定的

■ 「“節度ある”飲酒は、実は“中程度に危険”」と結論

この2つの報告を踏まえ、今後の米国の飲酒ガイドラインがどうなるのか、注目が集まっています。

酒にたばこレベルの規制は来るか?

マーシー博士の提案する「がん警告ラベル」導入には、以下の壁が立ちはだかります:

■ 連邦議会の承認が必要(分断の深い今、法案可決は困難)

■ トランプ新政権は「規制緩和・小さな政府」を掲げており、実現可能性は低い

■ HHS新長官のロバート・F・ケネディJrも禁酒主義ではない

一方、アイルランドは2026年からがんのリスクを明示したラベルを導入予定。韓国も一部導入済みで、世界的な動きとなる可能性もあります。

医療の視点からみる「節度ある飲酒」

肯定派の主張

■糖尿病、心血管疾患、血栓症のリスク低減

■「ブルーゾーン(長寿地域)」に住む高齢者(例:サルデーニャ島)では、日常的にワインを楽しむ人が多い

否定派の主張

■ 「どんな量でもがんのリスクはゼロにはならない

■ 方法論に問題あり:過去の研究は飲酒以外の生活習慣(運動・食事)を考慮していないことも多い

■ 「週に1~2杯」でもリスク上昇の可能性を示唆

社会の変化と消費者意識の変化

■ フランスではワイン消費が1960年代の120L→現在は40Lへと大幅減少

■ 米国でも2023年は2.6%、2024年は1.9%の消費減少(IWSR)

■ 「ドライ・ジャニュアリー(禁酒月間)」も浸透中

■ 健康志向が高まりつつある一方で、ワインのもつ文化的・社交的価値を重視する声も根強く存在します。

🧠ワイン愛好家として、どう考えるべきか?

📌「節度ある飲酒」は必ずしも健康を害するとは言えないが、明確に無害とは言えない

📌自身の健康状態やライフスタイルを見つめ直し、賢い選択を

📌 医師や専門家の助言に基づいた「自己判断」が最も重要

📌 ワインは味わうものであり、依存や習慣性のない“間隔をあけた楽しみ方”が理想的

🍷 最後に…

118歳で亡くなったシスター・アンドレの言葉を引用しましょう:

「私の長寿の秘訣?毎日、小さなグラスのワインを飲むことです。」

科学の進化と社会の価値観の変化が交差する今、ワインとの付き合い方も進化しています。あなたにとっての“ちょうどいい一杯”を見つけてみませんか?🍇✨