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2026.01.08

トレンドワイン知識

なぜノンアルワインはまずいのか?ワインによるアルコール摂取をスマートに抑える

新年を迎え、健康を意識して「アルコールを控えよう」と決意する方も多いでしょう。しかし、ワイン愛好家にとって、これはビール党の人々がノンアルコール・ビールに切り替えるよりも、はるかに高いハードルとなります。 なぜ、ワインに限っては「美味しいノンアルコール」に出会うのがこれほど難しいのでしょうか?

「ノンアルワイン」が直面する高い壁

残念ながら、現在の技術において、脱アルコール・ワインの多くは「ワインの真の代替品」としてはまだ物足りないのが現実です。

ビールは、除去すべきアルコールがワインに比べはるかに少ないため、しばしば残酷な脱アルコール化プロセスにワインよりもよく耐えられることが想像できます。また、ホップがビールにノンアルコールの風味源を提供する一方で、ワインは本質的にブドウ果汁と酵母以外の何物でもないのです。

そしてワインの風味は非常に繊細です。アルコールを除去するために用いられる「スピニング・コーン技術(※1)」や「逆浸透膜(※2)」といった物理的なプロセスは、ワインの持つ個性や複雑なアロマまでも奪い去ってしまう傾向があります。

「ワインの風味は、アルコールを除去するのに必要な激しい技術に耐えるには、あまりにも繊細すぎるのだ」 (Robinson, 2026)。

研究開発が進み、風味を損なわずにアルコールだけを除去する技術が確立されるまでは、無理に「ワインに似せた飲料」を探すよりも、別の視点でアプローチするのが賢明かもしれません。

※1 スピニング・コーン技術は、真空・低温下で遠心力を利用し、液体から熱に弱いデリケートな香気成分や揮発成分を、品質を損なうことなく高効率に回収・濃縮する精密蒸留技術 ※2逆浸透膜技術は、水分子よりはるかに小さい微細な孔を持つ半透膜に圧力をかけ、水分子だけを通過させて塩分や細菌、ウイルス、有害物質などを除去する高度なろ過技術

ワイン愛好家への新提案:「ゼブラ・ストライプ」方式

アルコール摂取量を減らしたい方に推奨されるのが、「ゼブラ・ストライプ(シマウマの縞模様)」方式です。これは、ワインを飲む際に、グラス一杯のワインと交互に高品質なノンアルコール飲料を挟むという習慣です。

  • スパークリング・ティー:複雑なブレンドによるお茶のシャンパーニュ風飲料。
  • ボタニカル・アペリティフ:リンゴ酢をベースに、ハーブやスパイスで「キレのある酸と苦味」を表現したもの。
  • カカオ・フルーツ・ジュース:カカオの果肉から作られる、ライチのような風味とワインに近い酸のバランスを備えた飲料。

ワインに比べると深みや複雑性は劣るのは致し方ないですが、最近は目を見張るクオリティのものが出てきているのでぜひ見かける機会があったらチャレンジしてみてください。

究極の選択:低アルコール・ワインの活用

どうしても「ワインそのもの」を楽しみたい場合、無理にノンアルコールに走るのではなく、「自然にアルコール度数が低いワイン」を選ぶのが最も満足度の高い解決策です。

  • ドイツの「カビネット(Kabinett)」:冷涼な産地のリースリングは、アルコール度数が7%〜9%と低く、それでいて驚くほど複雑で高貴な味わいです。

以下のワインはアルコール度数9%。「黄金の雫」の名前を持つ、やや甘口タイプの白ワイン。

ピースポーター ゴルトトレプフェン リースリング カビネット

ピースポーター ゴルトトレプフェン リースリング カビネット 2022

¥4,170 (税込)

SW02まろやか系甘口白ワイン

白 - 中甘口(セミスイート)リースリング100%

country-icon

ドイツ/モーゼル地方

  • イタリアの「モスカート・ダスティ」:度数はわずか5%程度。歴史的なワイン専門家たちもその魅力を高く評価してきました。

リンゴや洋梨などのフレッシュな香りに、心地よい泡立ち。爽やかで上品な甘さが魅力の、イタリア産中甘口スパークリングワイン。

フォンタナフレッダ / アスティ パレット ブルー

フォンタナフレッダ / アスティ パレット ブルー N.V.

¥2,630 (税込)

S01軽やか甘口系スパークリングワイン

スパークリング - 甘口モスカート(ミュスカ)

country-icon

イタリア/ピエモンテ州 /アスティ

基本に戻って:ワインのアルコールを抑えるメカニズム

そもそも、どのようにして低アルコール・ワインは生まれるのでしょうか?主な方法は以下の通りです。

  • 発酵の停止: 糖分がすべてアルコールに変わる前に発酵を止めることで、甘口ながら低アルコールのワイン(モスカート・ダスティなど)ができます。
  • 早期収穫と栽培技術: 糖度が上がりきる前に収穫したり、葉を摘み取って光合成を抑制し、ブドウの糖分産生を抑える方法です。
  • 物理的除去: 真空蒸留やろ過によってアルコールを抽出します。ただし、前述の通り風味へのダメージが大きいのが難点です。

参考文献

Robinson, J., 2026. How to cut down on wine. [online] JancisRobinson.com. Available at: https://www.jancisrobinson.com/articles/how-cut-down-wine [Accessed 3 January 2026].